海は未開の場所で調査がほとんどされていません。今日、私たちは未だに地球よりも他の惑星についてよく知っているのです。どうしたら、この巨大で重要な生態系をよく知ることができるのでしょうか? 探検家のセバスチャン・ド・ハルー(Sebastien de Halleux)さんは、風力と太陽光発電で動く新しいドローン部隊によって、今までなかった詳細な海のデータをいかにして集めるのかを説明します。そして、その集められたデータによって世界の気象や漁業資源の状態を知る手がかりが得られるのです。
- TED Speaker: Sebastien de Halleux(Entrepreneur, explorer)
- Japanese translation by hirohisa suzuki. Reviewed by Masaki Yanagishita.(日本語字幕を読む)
この数年間、ベーリング海でスケトウダラの漁業資源の規模を調査しています。この調査は漁場を管理して、漁業資源の枯渇を防ぐためのクオータ制を改良するのに役立ち、損なわれやすい生態系を保護します。
海は人間一人あたり毎年20kgの魚を供給しています。漁業資源が激減する中で、私たちはオットセイの生息数の減少から何を学ぶことができるのでしょう? 魚の問題だけではありません。世界の気象系を海が動かしているので、世界の穀物生産量に影響を与え、生命や財産に甚大な被害をもたらしうるハリケーンや猛暑、それに洪水を引き起こしています。私たち全員に毎日影響を及ぼすのです。しかし、海は未開の場所で調査がほとんどされていません。
最後に「今こそ地球を計測するときなのです。なぜなら私たちは計測できないものを修理することはできませんし、知らないことに対して準備することはできないのですから」と述べています。
2021年1月11日、世界最大(22m)のセイルドローン(Saildrone)が発表されました。外洋で最大12か月のミッションが可能な自律航行する海洋調査船は、7,000mまでの海底マッピングが可能なソナー機器を搭載しています。また、カメラや通信機器、数多くの海洋センサーが搭載され、「環境DNA」と呼ばれるDNAのサンプルが収集され、水に生息する生物の遺伝的構成が明らかになります。
- Saildrone(Website)
自律航行型の調査船が海洋データを収集し、政府機関や科学者に提供すべく活動を続けています。その狙いは、収集したデータによって地球の「解像度」を高めることです。風力タービンを設置する際の海底のマッピングから、地球温暖化による海流や生態系などへの影響の測定など、その活用の可能性に期待が高まっています。
- 地球の“解像度”を高めるべく、自律航行する調査船が海のマッピングに動き出した(4/8 Wird.jp)
日本財団は、2017年8月から海洋事業の一環として、2030年までに全地球の海底地形図を100%完成することを目指す国際的なプロジェクト「日本財団-GEBCO Seabed 2030」を推進しています。
- 「日本財団-GEBCO Seabed 2030」始動から2年10カ月 地図化された世界の海底地形は6%から19%へ(6/21, 2020 日本財団)