小山妙子(こやま・たえこ:84歳)さんは、1971年(昭和46年)に当時とても珍しかったアイヌ古来の方法で結婚式(ウトムヌカラ)を挙げました。新郎は貝沢三千治さん、ともにアイヌの血を受けた人です。その様子はドキュメンタリー映画として残されました。今年4月21日に小山さんを迎えてむかわ町穂別で上映会が開催されました。小山さんは差別や偏見と闘って来たからこそ、結婚式の映像を残そうと決意したと言います。花婿と花嫁の「めし食い」から始まるアイヌの結婚式、貴重な記録映画です。
小山さんはアイヌに対する様々な差別を体験して育ちました。小山さんは、「哀れだった。哀れだった。考えがね、教育を受けていないしょ? それで子守に出されたり労働力として使われていた。差別みたいなものなんてもんじゃないんだよ」と語ります。
映画のなかでインタビューを受ける小山妙子さん(当時31歳)
「アイヌは滅びゆく民族だとか劣等民族だとかいろいろ言われました。私は誇りにさえ思っています。アイヌ式の結婚式をするってことを」、そして「80歳、90歳になるフチ(祖母)やエカシ(祖父)が、『アイヌの結婚式見たことない』って、『おまえよくやってくれたな勇気あるな』って、『それこそアイヌメノコ(女性)だ』って言われて、泣いた・・」と言います。
上映会を「懐かしいな・・」として観ていました。最後に、「映画からどういうこと感じてとって欲しいか」と質問されると、茶目っ気がある小山妙子さんらしい答えが返ってきました。遊び心に溢れた「よきにはからえ」と答えています(^^)
この記録映画「アイヌの結婚式」の概要には、「失われてきたアイヌの古来の結婚式を再現しカメラに記録したものです。1971年4月、北海道日高地方のとある村でささやかなアイヌの結婚式が行われました。アイヌがアイヌ古来の方法で結婚式をする。このごく当たり前のことがもう当たり前のことではなくなっていました。
この記録映画はアイヌ古来の結婚式を行った人たちからの呼びかけに応じて製作された自主制作映画です。説明には、「民族の魂の復活を願うアイヌの仲間たちは、さらに次その次と彼らの願いを私たちの前にさし示してくれるでしょう」とあります。
演出:姫田忠義 制作:小泉修吉 他 指導:萱野 茂
1971年/33分/北海道沙流郡平取町二風谷
文部省選定/1972年東京教育映画コンクール奨励賞/イタリア・ポポリ映画祭入賞
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下記動画は予告編です。