6月20日、スイスの国際経営開発研究所(IMD)は、主要64カ国・地域を対象にした2023年版のIMD世界競争力ランキング(IMD WCR)を発表しています。2023年トップ3(昨年順位)は、デンマークが昨年に続いてサステナビリティの推進など、全項目で高スコアを維持して2年連続首位になっています。2位は急上昇のアイルランド(11位)、3位はスイス(2位)でした。1989年に始まったIMD世界競争力ランキング、日本は過去最低の35位(昨年34位)となってしまいました。
- World Competitiveness Ranking 2023(IMD)
- Agile governance and good access to markets boost citizens’ quality of life(IMD)
ランキングトップ3の国は、いずれも小規模経済国であり、市場や貿易相手国へのアクセスをうまく活用しています。4位のシンガポールも同様です。アイルランドの急上昇は主に、優れた「経済パフォーマンス」の結果(7位から1位)であり、総合では11位から2位に上昇しています。
この結果について、IMD世界競争力センター(WCC)所長のアルトゥーロ・ブリス(Arturo Bris)教授は次のように述べています。「自国の利益を追求する国が増えています。複数の危機が重なり、世界は保護主義経済と自由貿易経済の間でますます分断されている状況の中で、勝者と敗者が明らかになってきています。」と述べています。
さらに「2022年と同様にヨーロッパがこのランキングでは優れており、上位10位内に5か国がランクインしました。最も競争力のある経済圏は、規模が小さいだけでなく、強力で効率的な制度を備えている傾向があります。「国民に繁栄をもたらす国の能力は、成功の重要な決定要因です。それは中国がまだ行っていることではなく、米国もまだ完全に行っていることではない」とブリス所長は説明しています。
IMD世界競争力ランキングは、「経済パフォーマンス」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4カテゴリー(20項目)、計333の指標からスコア付けしています。日本の4カテゴリー(20項目)では、「経済パフォーマンス」が26位(昨年20位)、「政府の効率性」は42位(39位)、「ビジネスの効率性」が47位(51位)、「インフラ」が23位(22位)です。いまだ「失われた30年」から抜け出せない日本がいます。今年4月に来日したWCCのブリス所長が日本の世界競争力が低下している要因を解説しています。
特に「経済パフォーマンス」と「政府の効率性」が、昨年からさらに低落しています。日本の急速な少子高齢化の対策や男女格差の解消、労働環境(賃金、リスキリングなど)改善などが遅々として進展せず、さらに新型コロナ対策やマイナンバー問題で露呈したデジタル化やグローバル化に対応できない典型的な「日本病」が継続しています。
「Business Insider」が「世界競争力ランキング2023」を詳細に解説しています。一読をお勧めします。
- 日本の競争力は「過去最低」の世界35位。「世界競争力ランキング2023」衝撃の結果(6/20 荒幡温子/businessinsider.jp)