5月5日、2025年のピューリッツァー賞受賞者が発表されました。最も栄誉ある公益部門では、中絶規制が強化された州で人工妊娠中絶を受けられずに死亡した女性がいることを報じたニュースサイト「プロパブリカ」を選出しました。速報写真部門では、昨年7月のトランプ氏暗殺未遂事件の瞬間を捉えたニューヨーク・タイムズの写真が、調査報道部門には、合成オピオイドのフェンタニル製造に必要な化学物質が、米国の税関検査をすり抜けて中国から容易に入手されていた実態を報じたロイター通信が選ばれています。
- The 2025 Pulitzer Prize Announcement(5/5 The Pulitzer Prizes)
- 2025 Pulitzer Prizes(The Pulitzer Prizes) 各部門の受賞者一覧

速報写真部門に選ばれたのは、演説会場でトランプ氏(現大統領)の頭を銃弾が耳を通り抜けた瞬間や、流血したトランプ氏が拳を突き上げながら立ち上がる様子をとらえたニューヨーク・タイムズ紙の一連の写真(8枚)です。また、速報報道部門ではワシントン・ポスト紙の暗殺未遂事件に関する緊急かつ啓発的な報道が受賞しています。
- Doug Mills of The New York Times(The Pulitzer Prizes)8枚のスライドショーがあります。
- Staff of The Washington Post(The Pulitzer Prizes)
ピューリッツァー賞で最高の栄誉とされる公益部門は、米国の人工妊娠中絶規制の影響で適切な処置を受けられず死亡した女性に関する報道でニュースサイトのプロパブリカを選出。プロパブリカは公益部門で2年連続の受賞になりました。
2022年に連邦最高裁が中絶の憲法上の権利を否定しました。プロパブリカは、中絶規制が強化された州で中絶薬を使ったり流産したりして容体が急変した女性らが、子宮から胎児をかき出す処置を受けられずに命を落としている実態を伝えています。
- ProPublica, for urgent reporting by Kavitha Surana, Lizzie Presser, Cassandra Jaramillo and Stacy Kranitz(The Pulitzer Prizes)
- ProPublica Wins Pulitzer Prize for Public Service(5/5 Pro Publica)

ロイター通信は、米国の致命的なオピオイド危機を悪化させている中国産のフェンタニル化学物質がいかに安価で入手しやすいか、そしてなぜ当局がそれを阻止できていないかを明らかにしています。
- Fentanyl Express(Reuters) 違法フェンタニル連載(Part1-5)
- We bought everything needed to make $3 million worth of fentanyl. All it took was $3,600 and a web browser(Part1)
- Fentanyl’s deadly chemistry: How rogue labs make opioids(Part2)
違法フェンタニルはヘロインの50倍の強力な薬物です。しかし、違法フェンタニル製造者が製造に必要な化学物質を手に入れると、粗雑な研究室で1日もかからずにフェンタニルを合成できます。