10月26日、12年目となる国連環境計画(UNEP)の排出ギャップ報告書2021(Emissions Gap Report 2021)を発表しました。COP26を前に、120カ国が国連に提出した2030年までの温室効果ガスの自主削減目標(NDC)などを検討したものです。このNDCのままでは、パリ協定において今世紀の気温上昇幅を1.5度までとする目標には遠く及ばない(2.7度上昇)としています。地球温暖化を1.5度未満とするには、世界は今後8年間で年間排出量を半減させる必要があるとしています。
- A world of climate promises not yet delivered(10/25 UNEP)
- Emissions Gap Report 2021(10/26 UNEP)
- 温室効果ガスの各国削減目標、危険回避には不十分=国連(10/27 BBC News)
10月31日から英国グラスゴーで開催される気候変動に関する国際連合枠組条約第26回締約国会議(COP26)は、世界各国に排出量削減目標の引き上げを促す合意ができるかが焦点の一つで、この報告書は議論のたたき台となります。
UNEPのインガー・アンダーセン(Inger Andersen)事務局長は、「気候変動はもはや未来の問題ではなく、今の問題だ。地球温暖化を1.5度に抑えるために温室効果ガス排出量を半減させるまでに8年しかない。時計は大きく時を刻んでいる」と述べています。
排出ギャップ報告書では、各国が期限を決めて排出実質ゼロにする目標を掲げているものの、実現に向けた具体策が乏しいことも指摘しました。世界の排出量の過半数を占める主要20カ国・地域のうち、日本を含めた12カ国・地域が実質ゼロ目標を表明しています。
UNEP報告書の作成時点で具体策を盛り込んだ排出実質ゼロ計画を公表しているのは半数に満たず、UNEPは「実質ゼロを達成するためには、より強く短期的な対策が必要だ」と訴えています。
10月25日、世界気象機関(WMO)は温室効果ガスの昨年の排出について、新型コロナウイルスのパンデミックがあったにもかかわらず、CO2濃度は産業革命前の149%を記録、過去最大だったとする調査報告を公表しました。WMOのターラス事務局長によると、CO2濃度が前回同じ水準に達したのは300万~500万年前。当時の地球は現在より気温が2~3度、海面は10~20メートル高かったということです。
- 大気中のCO2濃度、昨年も記録更新 世界気象機関の報告(10/27 CNN)
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