12月18日、核融合ベンチャー企業の米コモンウェルス・フュージョン・システムズ(CFS)は、世界初の商用核融合発電所を米バージニア州リッチモンド近郊に建設すると発表しました。2030年代初めまでに発電を開始するとしています。CFSのCEOボブ・マムガード(Bob Mumgaard)によると、運転開始後は400MWの出力で約15万世帯に電力を供給します。
- Commonwealth Fusion Systems to Build World’s First Commercial Fusion Power Plant in Virginia(12/18 CFS)
- 「世界初」の商用核融合発電所、建設地はバージニア州 米ベンチャー発表(12/19 CNN)
CFSは候補地として世界の100カ所以上を検討した結果、経済や労働力、退役予定の石炭火力発電所からの転換が望めることなどから、リッチモンドを選んだとしています。バージニア州は膨大な電力を消費するデータセンタの世界最大の市場でもあります。
核融合は化石燃料に代わるエネルギー源の一つとして期待されています。燃料に使われる水素は地球上に豊富に存在し、温室効果ガスや長期的な放射性廃棄物も発生させません。ただし、研究段階から世界での商業化に至るまでの課題は多く、非常に長い道のりとなっています。
それでも、米マサチューセッツ工科大学(MIT)発のベンチャー企業CFSは、2018年の創業以来20億ドル(約3,000億円)超の資金を調達してきました。
CFSは、ドミニオン・エナジー(Dominion Energy)から核融合発電所の建設用地を借りています。ドミニオンはCFSに開発技術の専門知識を提供し、CFSはドミニオン・エナジーに核融合発電所の建設と運用方法に関する知識を提供します。CFSはバージニア州全体の当局者と非常に生産的な協力関係を築いてきました
- Virginia | Dominion Energy(Website)
- 2026年の稼働目指す、コモンウェルスの核融合施設へ行ってみた(11/12 MIT Technology Review)
2026年には核融合実証炉スパーク(SPARC)で、原子核と電子を分離した超高温の「プラズマ」を生成し、その後「投入したエネルギー以上のエネルギーを生み出す」反応を達成したいとしています。
CFSはこのバージニア州の立地を皮切りに、将来は数1,000カ所での発電所建設を目指します。同社以外にも多くの民間企業が、核融合発電の商業化に向けてしのぎを削っています。