中国の温家宝首相は、中国・天津市で開催された「世界経済フォーラム(夏季ダボス会議)」で、減速が続く国内景気について「金融、財政政策にはまだ余地がある。今年の成長目標(7.5%)は達成できる自信を持っている」と述べ、安定成長の達成のために必要な政策を実施する考えを示しています。
財政政策では、7月末で1兆元(約12兆円)の財政黒字と、財政調整基金に1,000億元の資金があることを明らかにした上で「経済成長を確実にする能力がある」と述べています。
中国政府は今月に入り、1兆元超のインフラ事業を認可しており、温首相も財政支出で景気を支える用意があることを改めて強調しています。
- 中国の景気減速も温首相「7・5%成長に自信」(読売新聞)
減速感を強めている中国経済について、ウォールストリート日記(harry_gさん)に興味深い記事が掲載されています。
- 中国経済の「ニュー・ノーマル」?(ウォールストリート日記)
フィナンシャル・タイムズの弱気アナリストは、「中国経済はまさにターニングポイントを迎えている」と指摘しています。
その理由としては、中国は既に「安い労働力」というカードを使い果たし、また輸出先である欧米経済が近い将来に急速な拡大局面に入ることも考えにくい中で、中国は国中に溢れる政府主導の非効率なプロジェクトのツケを負っていかなければいけないからだ、と指摘しています。
中国経済に対して強気な人は、「中国はまだまだ貧しく、インフラも未整備で、大きな改善と発展の余地がある」点と、「中国政府は大きな余剰金を抱えており、そうしたプロジェクトを支える十分な資金力がある」点を指摘します。
中国経済に対しては、強気と弱気が交錯しています。不動産価格の高騰や、貧富の差の拡大を含む様々な経済の歪みが表面化するなか、反日デモの拡大や強硬な経済制裁など、ナショナリズムを刺激する事案が相次いでいます。
ナショナリズムの煽りは、「ターニングポイントを迎えた中国経済」が持続可能な成長に移行すること、さらに世界経済の安定成長も困難にすることは確かだと思います。
アジア歴訪中の米国のレオン・パネッタ国防長官は、日本経済および中国経済と固く結び付けられている米国経済からも冷静な対応を求めています。
- 中国経済(Googleニュース検索)
- 日本と中国 経済的利益はナショナリズムより重要:パネッタ国防長官(ロシアの声)