世界中の神話や伝説などに必ず登場するのが、美しい女性の淫魔や妖怪です。
この絵は。リリス(Lilith)は、メソポタミアにおける女の夜の妖怪で「夜の魔女」「女悪魔」とも言われ、男児を害すると信じられていました。
聖書の「イザヤ書」おいてはリリス(לִּילִית, 標準ヘブライ語ではリリト Lilit)は夜の妖怪か動物の一種だったようです。(Wikipedia)
アイヌに伝わる昔話でも、人間くさいオバケが次々登場する「えぞおばけ列伝 知里真志保編訳」に「パウチ」が紹介されています。
知里真志保さんによれば、「パウチ」は淫魔とか淫乱の神とか訳すべきものとしています。
世にも美しい全裸の女が歌ったアイヌ語の歌は、与謝野晶子の「柔肌の熱き血潮に触れもみで寂しからずや道を説く君」と訳して紹介しています(^^)
- タンオッカイポ やわはだの
- エントラ あつき
- ララクカンポ ちしおに
- ラールイパ ふれもみで
- オイカル サル さびし
- テケチンパ からずや
- コッネイコッネイ みちを
- エロシキ! ゆくきみ
- えぞおばけ列伝・知里真志保 編訳(青空文庫)
- パウチカムイ(Pawci-Kamuy)(Wikipedia)
アイヌ民譚集―えぞおばけ列伝・付 (岩波文庫 赤 81-1) 文庫 – 1981/7/16(AMAZON)
知里真志保さんは、最後の注釈に直訳すれば次のようになると書き添えてありました(^^)
- タンオッカイポ これ若者よ
- エントラ 私について来て
- ララッカンポ つややかな肉の小丘を
- ラールイパ なでさすり
- オイカルサル 葛の草やぶ
- テケチンパ かき分けて
- コッネイコッネイ 下なる谷間に
- エロシキ 降りて立て
説明に蛇足を加えるならば、肉の小丘は乳房、葛の草やぶは土手の上の陰毛地帯、下なる窪みというのはむろん土手の下の窪みをさすわけだ。まさに閨房秘戯の図を詠んだ歌にちがいない。(えぞおばけ列伝から)
- 悪魔の一覧(Wikipedia)悪魔的な側面を持つ神格も含む。
「えぞおばけ列伝」は面白いです。アイヌ民族文化の多様性と精神性の豊かさが解ります。
- アイヌ伝統文化の復権 アイヌ神謡集/知里幸恵(Nobuyuki Kokai)