12月17日に発表された世界経済フォーラム(WEF)の世界男女格差年次報告書2018年によると、男女間の所得格差改善や、専門職に就く女性は増加したものの、労働人口における女性の比率の停滞、女性の政治参画の減少、および医療や教育へのアクセスにおける格差は広がりました。この結果、2018年のグローバル・ジェンダーギャップは、わずかに縮小されるに留まりました。
日本は前年(114位)から順位を4ランク上げ110位になりました。日本のジェンダーギャップ(格差縮小率)が66%近くまで縮小された主な背景には、過去12カ月で1.5%改善した職場環境があります。しかし、日本は主要7カ国(G7)では引き続き最下位、依然として男女平等が進んでいない経済圏の一つです。(149カ国中、110位)
- The Global Gender Gap Report 2018(jp.weforum.org)
総合的にジェンダーギャップを85.8%以上縮小させているアイスランドは、10年連続で1位でした。2位はノルウェー、3位スウェーデン、4位フィンランドと北欧諸国が並び、以下はニカラグア(5位)とルワンダ(6位)が続きます。ニュージーランド(7位)、フィリピン(8位)アイルランド(9位)ナミビア(10位)までがトップ10です。
G20では今年もフランスが最上位の12位でしたが、昨年からランクを一つ落としています。続いてドイツ(14位)英国(15位)カナダ(16位)南アフリカ(19位)。米国は順位を2つ下げて51位になってます。
100位以下となっているのは、中国(103位、67.3%)、インド(108位、66.5%)、日本(110位、66.2%)、韓国(115位、65.7%)、トルコ(130位、62.8%)、そしてサウジアラビア(141位、59%)の6カ国でした。
今回のレポートで新たに実施した LinkedInとの共同分析では、AI分野で女性の専門職が占める割合はわずか22%であることからジェンダーギャップの拡大が顕著であることが指摘されています。これは他産業の人材状況と比べて3倍の格差が生じている事になります。
さらに、その格差に加え、AI分野で女性が上級職に就くことや、新しいAI技術で注目を集める高い専門性を発揮する可能性は低いことが示唆されています。
・2018年のグローバル・ジェンダーギャップの概観
・STEMからAIへ:グローバル・ジェンダーギャップの新開地
・地域別の2018年グローバル・ジェンダー指数
この日本語版レポートは、WEFのニュー・エコノミー・アンド・ソサエティ・センターが作成しています。主要7カ国(G7)で最下位、100位以下の低迷を続けている「日本の男女格差指数」にはウンザリしますが、レポートの一読をお薦めします。
- 男女格差指数2017 日本114位(Global Gender Gap Report 2017)(Nobuyuki Kokai)