2013年に学生のボヤン・スラット(Boyan Slat)さんが立ち上げたオランダの環境団体「The Ocean Cleanup」は、これまで主に海洋プラスチックごみの回収を目指してきましたが、この目標を補完するべく、今度は河川のごみ除去へと動き出しています。海洋プラスチックごみの原因の約80%は、1,000の非常に汚染度の高い河川(世界全体の河川は 100,000)にあり、同団体では政府や民間企業と協力して、2025年末までにこの課題に取り組むと発表しています。
- The Ocean Cleanup Unveils Plan to Address the Main Source of Ocean Plastic Pollution: Rivers(26 October 2019 Press Release)
世界初の海洋浄化システム「System 001」は、U字型のプラスティック製チューブの強度不足や、集めたプラスチックを長期に保持できない問題、海洋生物も収集する指摘などの難題を抱えながら、システムを改善してきました。現在「System 001/B」の最終テスト結果を経て、本格運用モデル「System 002」の設計プロセスに入っています。
- Outcome and next steps(The_Ocean_Cleanup)
海洋プラステック問題に取り組むNPO「The 5 Gyres Institute」を率いる科学者で、この問題を研究しているマーカス・エリクセン(Marcus Eriksen)氏は、「海岸で毎週のように清掃活動を実施するほうが、(海洋で)ごみの回収事業を6~7年間かけて実施するよりも、ずっと多くのごみを集められるはずです」と語ります。
また、「何らかの問題を解決するには、一般的には原因の上流か下流で対策を講じることになります。しかし、下流側に行けば行くほど、問題解決に必要なコストが膨らみ続けるのです」と述べています。
太陽光発電動作、ハイテク仕様のインターセプターは、すでに2隻がインドネシアとマレーシアで航行しています。もう1隻はヴェトナムのメコン川での航行を準備中で、4隻目はドミニカ共和国で航行する予定になっているそうです。
- THE INTERCEPTOR™(The Ocean Cleanup) インターセプターの詳細仕様
河川を航行するごみ回収船というアイデアは、数年前から米ボルティモアの河川でプラスティックを集めるごみ回収船が航行しています。大きな目玉が飛び出た愛嬌のある外観で、ミスター・トラッシュ・ホイール(Mr. Trash Wheel™)と呼ばれます。
「大きな目玉をつけたところ、ミスター・トラッシュ・ホイールの作業は人々に行動の変化を促す活動に変わりました」と、ヘルシー・ハーバー・イニシアチヴ(Healthy Harbor Initiative)のリンドキスト(Adam Lindquist)さんは説明しています。
Wired誌は、大きな目玉はオプションですが、インターセプターにもぜひつけたほうがいいと薦めています(^^)