イーサルト・ギレスピー(Iseult Gillespie)さんが、グリム童話から「死神に逆らった医者の物語」をお話しします。13番目の子供が生まれたばかりの大家族で、夫婦は大変困っていました。食べ物もお金も底をつきかけていたのです。父親が森の中をさまよっていると、やせさらばえた顔に落ちくぼんだ目の骸骨のような人影に出くわしました。それは死神で、名付け親になってやると言います。
- グリム童話(Google検索)
- グリム童話の一覧(Wikipedia) 死神の名付け親(KHM 44)
幕末期から明治期にかけて活躍して多数の落語を創作した初代三遊亭圓朝の死神(古典落語)の原典の一つ
ある貧乏な夫婦のもとに子が生まれます。男は名付け親のなり手を捜しに森の中を歩きます。神、悪魔、死神と順番に出会い、死神に息子の名付け親になってもらいます。死神は男に、息子が将来金銭的に成功を収めることを約束します。
月日がたって、子供は野心的な若者へと成長し、骸骨のような名付け親が約束通りに現れました。その節くれだった手には、万病に効く薬の瓶が握られていました。医者としての成功を約束する薬を死神は「名付け子」にもたらしたのです。ただ、その強力な薬を使うには固い決まりがありました。
医者となった若者が病人を診た時、死神がその頭上に漂っていたなら、解毒薬の香りのひと吹きで治してやることができます。しかし、死神がベッドの足元に居座っていたなら、患者の命をもう自分の物にしたということで医者にできることはありません。
王様が病気になったとき、有名になった医者が治療のために呼ばれますが、ベッドの足元に死神が居座っているのを見て落胆しますが、栄光を望むあまり、名付け親の死神を欺くことも厭いませんでした・・・。
- Japanese translation by Yasushi Aoki. Reviewed by Tomoyuki Suzuki.(日本語字幕を読む)
- 死神に逆らった医者の物語/イーサルト・ギレスピー(TED)