6月20日、ロシア・シベリアのサハ共和国、ベルホヤンスク(Verkhoyansk)で、気温が摂氏38度に達し、北極圏での過去最高気温を記録したとみられます。この記録については検証が必要ですが、38度の記録が確定すれば、6月の日別の平均最高気温より18度も高かったことになります。約1300人が暮らすベルホヤンスクは、極寒で知られ最低気温が-67.8°C(-90.0°F)を記録している地域です。
- シベリアで38度を記録か、北極圏で過去最高の可能性(6/23 BBC News Japan)
- 北極圏で前代未聞の38℃を記録、何を意味する?(6/25 National Geographic)
東シベリアは、北半球で最も寒い冬の気温で有名ですが、2020年に気象学者を驚かせたのは、この地域の猛暑と山火事でした。マップは2020年3月19日から6月20日までの地表面温度を示しています。赤色は、2003年から2018年までの同時期の平均よりも暑かった地域を表し、青色は平均よりも寒かったことを示しています。NASAのAqua(地球観測衛星)に搭載された中解像度イメージング分光放射計(MODIS)からのデータに基づいています。気温ではなく、地表面温度(LST)を示しています。
ほとんどの科学者は、北極圏では過去30年間、世界平均の2倍の速さで暖かくなったという見解で一致しています。2019年夏にはグリーンランドで氷床の雪解け期間が例年より3カ月も長く続き、大量の融解水が海へ流れこんでいます。このような高温状態が気候変動によるものなのかどうかについては、激しい議論になっています。しかし。この先も北極圏で異常気象が増えることは間違いないと予測されています。
北極圏での温暖化は、かつては永久に凍り続けていた永久凍土の融解を引き起こし、地下に閉じ込められていた二酸化炭素とメタンが放出されます。これらの温室効果ガスがさらなる温暖化と、さらなる永久凍土の融解を進行させ、正帰還として知られる悪循環を引き起こしてしまいます。
今年6月、シベリアでは燃料タンクが破損し、付近の川に2万トンの燃料が流れ込むという事故が発生しました。破損の原因は、永久凍土が融解し、地盤が不安定になったためとみられています。
また、北極圏の山火事は例年5月初旬に始まり、7月と8月にピークを迎えます。ところが今年は、シベリアのクラスノヤルスク地方では4月下旬の時点ですでに前年同期の10倍の規模の山火事が起きていたと、ロシアの非常事態相は述べています。
- Heat and Fire Scorches Siberia(6/24 GISS)
ゴダード宇宙科学研究所(Goddard Institute for Space Studies、GISS)