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キーウ近郊「ブチャの虐殺」戦争犯罪の証拠が相次ぐ

ブチャの虐殺(ウクライナ語: Бучанська різанина、英語: Bucha massacre)は、ロシアのウクライナ侵攻の際に、キーウ近郊のブチャの戦いで2022年3月に発生した大量虐殺です。ウクライナの検察当局によれば、ブチャを含むキーウ近郊の複数の地域で410人の犠牲者が発見されています。ロシア連邦軍の戦争犯罪とされていますが、ロシア側は関与を否定しています。

Destroyed car in Bucha with a dead person inside, 2 April 2022 / Wikipedia

2022年3月、ロシア軍はブチャの戦いで1か月にわたりブチャを占拠していました。ロシア国防省によれば、ロシア軍は3月30日にブチャを完全撤退したとしています。4月2日、ウクライナ政府はブチャを含むキーウ州全域をロシア軍から解放したと発表しました。ロシアは遺体がロシア軍の撤退後に出現したとして「遺体の捏造」と主張しました。

また、ロシア国営TVは「遺体が動いたなど、捏造された映像」としていますが、すぐにベリングキャット(Bellingcat)ファクトチェックしています。

4月4日、米ニューヨーク・タイムズは「ロシアの主張にもかかわらず、衛星画像は遺体が数週間ブチャに横たわっていたことを示している」と分析しています。遺体がいつ出現し、民間人が殺害された可能性が高いかを確認するために、視覚調査チームが衛星画像の前後の分析を実施。衛星画像は 3月9日から3月11日までの間に、ヤブロンスカ通りに人体と同じサイズの暗い物体が現れたことを示しています。その位置も遺体撮影映像と一致していると確認しました。

ロシア軍後退後、4月1日にブチャに入ったAFP通信記者は、路上で少なくとも20人の遺体を発見したといいます。そのうち少なくとも1人の男性は、両手を後ろに縛られていました。ロイター通信のカメラマンも、ブチャの路上に点在する複数の遺体や大破した車両、砲撃で大きな穴の開いた集合住宅などの様子を撮影しています。

<ウクライナ警察による動画:閲覧注意>

ブチャのアナトリー・フェドルク町長はAFP通信に対して、280人を集団埋葬したと話しました。ウクライナ軍司令官の1人は、18歳から60歳の男性がロシア兵に取り押さえられ、処刑されたと述べています。米国の人工衛星企業マクサー・テクノロジーズは、ブチャの教会の敷地内に長さ13mの塹壕(ざんごう)が掘られているのを、衛星写真で確認したと発表しました。

Mass grave in Bucha, 2 April 2022 / Wikipedia

4月3日、グテーレス国連事務総長はブチャで起きた殺人疑惑をめぐり、独立した調査を行うよう呼びかけました。ツイッターで、「ウクライナのブチャで殺害された民間人の映像に深い衝撃を受けている。独立した調査が実際の説明責任につながることが重要だ」と述べました。

ゼレンスキー大統領は、「何千人もの人が殺害され、拷問を受けた。女性は暴行され、子供たちも殺された」と指摘し、「これらの戦争犯罪は世界からジェノサイド(集団殺害)と認定されるだろう」と述べています。ロシア軍は、民間人を殺害する戦争犯罪をウクライナ各地で行った疑いが強まっています。米欧などはロシアを一斉に非難し、追加制裁の検討に入っています。

デア・シュピーゲルによる動画:閲覧注意>

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