7月13日、ビル・ゲイツ氏は私財200億ドル(約2兆7,000億円)を慈善団体のビル&メリンダ・ゲイツ財団に移すと表明しました。同財団は、2026年までに年間拠出額をコロナ前の約60億ドルから 50%増の90億ドル(約1兆2,400億円)に増やす計画です。コロナ禍やウクライナの戦争などによる世界的課題に対応するための拠出額を増やすとしています。
- By 2026, the Gates Foundation aims to spend $9 billion a year(7/13 Gates Notes)
- Gates Foundation Adds $20 Billion to Its Coffers(7/13 The New York Times)
- ビル・ゲイツ氏、私財200億ドルを慈善財団に移転 「長者番付はいずれ脱落」(7/14 CNN)
- Bill & Melinda Gates Foundation(Website)
ビル・ゲイツ氏と元妻のメリンダ・フレンチ・ゲイツ氏は、20年前に共同で設立した同財団に莫大な私財を投じてきました。2006年には、ウォーレン・バフェット氏の300億ドルにのぼる寄附により財団の規模が倍増しています。
ゲイツ氏はブログ(Gates Notes)で COVID-19のパンデミックや、ロシアによるウクライナ侵攻などで世界への悪影響が広がっていると指摘。さらに、「金利上昇と高インフレによる経済の低成長サイクル」「気候変動による被害の拡大」「深刻な政治的二極化」「中絶の権利を保障したロー対ウェイド事件の判決を覆す最高裁判所の判決」など、さまざまな問題が噴出していると主張しています。
そこでゲイツ氏は、「パンデミックの予防」「小児の死亡率低下」「ポリオなどの根絶」「食糧安全保障と気候変動への適応」「男女共同参画社会の実現」「教育成果の向上」「気候変動の緩和」といった目標を達成するため、ゲイツ財団の拠出額を加速するとしています。財団は年間60億ドル(約8,300億円)をさまざまな分野に支出していますが、2026年には年間拠出額を90億ドル(約1兆2,400億円)まで拡大できるように予算を増額する予定としています。この大幅な予算増大を達成するため、ゲイツ氏は「今月、財団の基金に200億ドルを送金します」と発表しました。
ゲイツ氏は、「私の資産ランキング順位は下がり、いずれ世界長者番付から姿を消すだろう」「私には、生命の向上に最も素晴らしい影響を与える形で資産を社会に還元する責務がある。莫大な富や地位をもつほかの人たちも、今この時こそ踏み出してほしい」と述べています。