6月15日にスイスの国際経営開発研究所(IMD)は、主要63カ国・地域を対象にした2022年版の世界競争力ランキング(WCR)を発表しています。2022年はデンマークがサステナビリティの推進や、インフレ抑制が高く評価され、WCR34年の歴史の中で初めて首位(昨年3位)になっています。2位はスイス(1位)、3位はシンガポール(5位)です。日本は過去最低の34位(昨年31位)で、日本病から抜け出せません。
1989年に始まった世界競争力ランキングで、IMDは「経済パフォーマンス」「政府の効率性」「ビジネスの効率性」「インフラ」の4カテゴリー(20項目)、計333の指標からスコア付けしています。注目国では、10位米国(昨年10位)、5位香港(7位)、7位台湾(8位)、17位中国(16位)、27位韓国(23位)、37位インド(43位)などです。また、クロアチアが46位(59位)にランクアップさせています。
日本の4カテゴリー(20項目)では「経済パフォーマンス」が20位(昨年12位)、「政府の効率性」は39位(41位)、「ビジネスの効率性」が51位(48位)、「インフラ」が22位(22位)です。COVID-19パンデミックの影響もありますが、デジタル化やグローバル化に対応できない日本特有の「日本病」は改善していません。
デンマークが首位になった理由については、「持続可能性の面で非常に積極的に行動している。ヨーロッパ市場の中で小国であることが有利になっており、小国の中で活動することで、温室効果ガス排出量削減に対する挑戦的な目標を掲げることができている」と解説しています。デンマーク政府は、10年間で温室効果ガス排出量を70%削減するという野心的な目標を掲げています。
今回のレポートでも、インフレの圧力が温室効果ガスや、社会経済的格差に関する懸念よりも、各国経済の競争力に大きな影響を与えていると指摘されています。そんな中で、デンマークのサステナビリティの推進やインフレの抑制は高く評価されています。
IMDは2022年のビジネスに最も影響を及ぼすとされる重要項目として、インフレ圧力(50%)、地政学的紛争(49%)、サプライチェーンの混乱(48%)、新型コロナウイルス(43%)を挙げています。インドは63カ国・地域中37位で、前年の43位から6ランク順位を上げ、アジア各国・地域の中で最も急成長を遂げています。
- 2022年版のIMD世界競争力ランキング、インドが37位に上昇(6/30 JETRO)
日本のIMD世界競争力ランキング(WCR)が低落している課題や問題点は指摘されますが、長年どこからともなく抵抗勢力によって進展しない「失われた30年」とも言われています。