地球の気温や温室効果ガス排出量が過去最高記録を更新する中で、10月20日に発表された国連環境計画(UNEP)の最新報告書(Emissions Gap Report 2023)では、各国が2030年に向けて掲げた温室効果ガスの削減目標を達成したとしても、世界の平均気温は今世紀末までに2.9度上昇するという見通しを発表しました。国連のグテーレス事務総長は、「これらはすべてリーダーシップの失敗であり、弱者への裏切りであり、大きな機会の喪失だ」と述べ、各国の温暖化対策の遅れを非難しました。
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- Secretary-General’s press conference on UNEP Emissions Gap Report Launch
(11/20 UN)
グテーレス事務総長は「指導者たちは、これ以上、問題を先送りすることはできない。COP28で飛躍的な気候変動対策を掲げなければならない」と述べています。さらにUNEP報告書は、経済全体にわたる低炭素開発の変革(イノベーション)を加速するよう求めています。11月30日から始まる国連の気候変動対策の会議「COP28」を、変革と取り組みの強化につなげる機会にすべきだと呼びかけています。
Emissions Gap Report 2023(UNEP)は警告しています。現在の気候計画の最も楽観的なシナリオでも、地球温暖化を産業革命以前の水準より1.5度未満に抑えられる可能性はわずか14%です。世界各国が現在の気候公約よりも進まない限り、世界は2.5-2.9度上昇する「地球温暖化」に直面します。
報告書によると、パリ協定が掲げる1.5度に抑えるには、2030年の温室効果ガス排出量をさらに削減する必要があります。削減量は、2度未満の経路では28%、1.5度の経路では42%の削減が必要とされています。
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世界の気温グラフは壊れたレコード(Broken record):今年は10月初めまでに、産業革命前の水準を1.5度以上上回る気温が86日間記録されています。9月は史上最も暑い月となり、世界の平均気温は産業革命以前の水準を1.8度上回っています。
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