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MethaneSAT

衛星データ(MethaneSAT)からメタン漏洩地図を作成(EDF / Google )

非営利団体の環境防衛基金(Environmental Defense Fund: EDF)とGoogleの共同プロジェクトにより、これまでで最も詳細なメタン排出量の実態を把握できるようになります。新しい衛星メタンSAT(MethaneSAT)が、世界中の石油・ガス事業から目に見えない形で噴出している「メタン・プルーム」を測定、この衛星データからGoogleとEDFは AIにより、研究者や規制当局、さらに一般の人々にも公開するメタン漏洩地図を作成します。メタンの排出(漏洩)削減を加速し、その進捗状況を追跡して責任の所在を明らかにします。

MethaneSAT
MethaneSAT Inside Look / EDF

EDFは、「世界中の人々は、干ばつ、飢餓、火災、異常気象、海面上昇など、地球温暖化の影響を毎日感じています。問題が大きすぎて解決できないように感じることがありますが、そうではありません。今すぐ行動を起こせば、最悪の影響を避けることができます。それが私たちが”MethaneSAT”を構築した理由です」と述べています。

化石燃料事業、農業、その他の産業から発生するメタンは、気候に非常に大きな影響を与えます。温室効果ガスによる温暖化の約3分の1はメタンが原因となっています。しかし、これらの目に見えない排出物を見つけるのは難しく、それらがどこにあるのか、誰がその責任を負っているのかについては明確な把握ができていません。

EDF GoogleEarth
EDF’s aerial data, available in Earth Engine, shows both high-emitting point sources as yellow dots, and diffuse area sources as a purple and yellow heat map. MethaneSAT will collect this data with the same technology, at a global scale and with more frequency. / Google

EDFの新しい衛星「MethaneSAT」は、前例のない精度でメタンをマッピング、測定、追跡し、メタン排出の包括的なビューを提供します。3月初旬(予定)にSpaceXのFalcon9ロケットで打ち上げられたMethaneSATは、高度350マイル(約564km)以上で1日に15回地球を周回します。

メタンを大量放出している発生源と広範囲に広がる小規模発生源の両方を監視する独自の機能を備えています。特定の場所で排出されるメタンの量を計算し、それらの排出量を経時的に追跡するために、EDFはハーバード大学工学応用科学部および天体物理学センターの科学者、スミソニアン天体物理観測所の科学者と協力して、Google Cloud を活用したアルゴリズムを開発します。

メタン排出量の検出に加えて、排出(漏洩)量が多いコンポーネントを特定するため、石油とガスのインフラの世界地図を作成します。衛星画像から道路標識、道路名、歩道、建物、樹木などを検出し、Googl Mapsに表示するのと同じように、AIを使用して石油およびガスのインフラ施設と設備などを識別、マッピングします。次に、MethaneSATからのデータと組み合わせて、メタン漏洩(排出)がどこから来ているかを特定します。

2024年後半には、研究者や企業、組織を支援するために、MethaneSATのWebsiteで公開され、地球規模の環境監視プラットフォームであるGoogle Earth Engineを通じてアクセスできるようになります。

The top satellite image shows a map of dots, which are correctly identified as oil well pads. Using our satellite and aerial imagery, we applied AI to detect infrastructure components. Well pads are shown in yellow, oil pump jacks are shown in red, and storage tanks are shown in blue.(赤はポンプ・ジャッキ、青は貯蔵タンク) / Google

環境防衛基金(Environmental Defense Fund: EDF)とGoogleの共同プロジェクトは、世界各国の政府がメタン漏洩の削減により強い姿勢を示したタイミングで立ち上がりました。2023年12月のCOP28の勢いに後押しされ、バイデン政権は12月(下記)にメタン漏洩の監視と修復の強化を義務付ける、新たな一連の規則を発表しました。また米国政府は2024年1月(下記)に、過剰なメタンの排出に対して企業への罰金も提案していますが、この規則はまだ最終決定されておらず産業界が争っています。EUも11月に基準をより厳格にすることに合意しています。

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