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Bangladesh quota reform movement 2024

バングラデシュのクオータ制度改革運動から政権崩壊へ

  • Media

8月5日、バングラデシュシェイク・ハシナ首相(76歳)が辞任しました。7月以降反政府デモが激化し、8月5日にはデモ参加者数千人が首都ダッカの首相公邸になだれ込み、治安部隊との衝突で50人超が死亡。これまでの死者数は少なくとも計350人に達しています。デモ隊は当初、公務員採用における優遇措置(クオータ制度)の撤廃を要求していましたが、その後ハシナ首相や閣僚の辞任を求めるなどエスカレートしました。ハシナ首相はデモ隊を「テロリスト」と表現していました。

Bangladesh quota reform movement 2024
2024年バングラデシュクオータ制度改革運動(7/6) / Wikipedia

バングラデシュには社会的弱者に対して公務員採用枠を割り当てるクオータ制度があり、1971年のバングラデシュ独立戦争を戦った退役軍人の家族には、公務員採用枠の3割が割り当てられていました。この運動は、2018年に決定されていた、退役軍人の家族に割り当てられた公務員採用枠の廃止を、バングラデシュ高等裁判所が2024年6月5日に取り消したことを契機として始まっています。

ただ、今年2024年1月に行われた総選挙では与党(独立運動を主導したアワミ連盟)が勝利し、ハシナ氏が4期目続投を確実にしましたが、野党は選挙をボイコットしています。人権団体は、ハシナ首相と政府が一党体制の権威主義に向かっていると警鐘を鳴らしていました。

シェイク・ハシナ শেখ হাসিনা ওয়াজেদ(2023年撮影)/ Wikipedia

7月14日シェイク・ハシナ首相は、この抗議運動に対して「もし”自由の戦士”の孫が(特別採用枠を)受け取らなければ、誰がそれを受け取るのか? ”ラジャカール(Razakars)”の孫たちか?」と発言しました。ラジャカールは、独立戦争時にパキスタンに協力した民兵組織のことです。彼らは虐殺や強姦などに関わったことから国内では強い憎悪の対象となっており、ハシナ首相の発言は非常に侮辱的なものとして受け取られました。

政権与党であるアワミ連盟は以前より、反体制派を指して「ラジャカール」の言葉を用いていました。ハシナ首相の発言を受けて、抗議運動は激化しました。全国の大学では、「お前は誰だ、俺は誰だ、ラジャカール、ラジャカール!(ベンガル語: তুমি কে, আমি কে, রাজাকার, রাজাকার!)」「誰が言った、誰が言った、独裁、独裁!(ベンガル語: কে বলেছে, কে বলেছে, স্বৈরাচার, স্বৈরাচার!)」「権利を求めたら、ラジャカールになった!(ベンガル語: চেয়েছিলাম অধিকার, হয়ে গেলাম রাজাকার!)」といったスローガンが繰り返されました。(下記の動画)

スローガンを叫ぶラジシャヒ大学(University of Rajshahi)の学生(7月15日)

2023年時点で、在日バングラデシュ人の数は24,940人、在バングラデシュ日本人の数は1,122人となっています。初代バングラデシュ大統領ムジブル・ラフマンの娘のシェイク・ハシナ首相によると、バングラデシュの国旗を制定するときに「父は日本の日の丸を参考にした」とされています。

面接会場で若者が目を輝かせて「日本に行きたい」といいます。伝統的に極めて親日的な国民性のバングラデシュは人口が多く、若者の割合も高い国です。一方で、人材不足で悩む日本企業。両者の期待のもと新たなビジネスが動き出そうとしています。

バングラデシュのレストラン襲撃人質テロ事件(2016年7月1日)


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