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AMOC

大西洋の南北循環が、気候変動によって早ければ2037年に停止?

大西洋の海水が表層で北上して深層で南下する「大西洋の南北循環(AMOC)」が、海水温の上昇と気候変動による塩分濃度の乱れによって、早ければ2037年にも停止する恐れがあるとの研究結果が新たに報告されました。この循環は、南半球の一部が極端に暑くなることを防ぐほか、北半球の一部が極端に寒くなることを防ぎつつ、海洋の生態系に命を維持するための栄養素を分配しています。気候変動によって突然訪れた氷河期に混乱する人々を描いた、2004年の米パニック映画「デイ・アフター・トゥモロー」が目に浮かびます。

AMOC
Ocean Circulation (conveyor belts) / NOAA

ここ数年の複数の研究では、AMOCが、海水温の上昇と人為的な気候変動による塩分濃度の乱れによって弱まり、崩壊に向かっている可能性が示唆されてきました。今回の新しい研究では、最先端のモデルを使用してAMOCが崩壊する時期を推定しており、これによれば2037年から2064年の間にAMOCが停止する恐れがあることが示されています。今回の研究は査読中で、まだ学術誌には掲載されていません。

オランダのユトレヒト大学の海洋大気の研究者で共同執筆者のレネ・バン・ウェステン(René M. van Westen)氏は、今回の研究結果について「非常に心配だ」と述べています。同氏はCNNの取材に対し、人為的な気候変動による負の副作用はすべて、さらなる熱波や干ばつ、洪水として続いていくとし、これに加えてAMOCが崩壊すれば、気候はさらにゆがんだものになると語っています。

AMOCの停止から数十年後には北極の氷が南下し始めて、100年後には、英イングランドの南海岸まで到達することになります。欧州をはじめ、米国の一部を含む北米大陸の平均気温は低下します。アマゾンの熱帯雨林では季節が完全に逆転し、現在の乾期が雨期に、雨期が乾期になるそうです。

amoc anime
AMOC in relation to the global thermohaline circulation (Animation) / Wikipedia

映画「デイ・アフター・トゥモロー」は、最新のVFXによって作られた竜巻や津波などのリアルな映像が話題を呼び、興行収入は北米で1億8,600万ドル、日本では3週連続1位の52億円、全世界では5億4,400万ドルに達しました。私も何度か観ています。

地球温暖化により、南極大陸の棚氷が融け始めます。棚氷の調査中にその光景を見た気象学者のジャック・ホールは、温暖化によって極地などの氷が融解して、真水が海へと供給されることで海水の塩分濃度の変化が起こるなどした結果、海流の急変が発生し、これが将来的に氷河期を引き起こす可能性があると考えます。ジャックが予測した将来的に起こるはずだった、氷河期が現代に到来します。

南極大陸の「終末の氷河」として知られるスウェイツ氷河は、いま急速に融解が進んでいます。ペンシルベニア州立大学の氷河学者でスリダル・アナンダクリシュナン(Sridhar Anandakrishnan)教授は、巨大なスウェイツ氷河の融解が進むと、世界中の海面が上昇します。気候変動の危険性について説明(下記動画)しています。


巨大なトッテン氷河が急速に融解するメカニズム(南極東部)


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