毎年2,000万人ががんと診断されます。同時に患者は大抵、数字の1から4で表される自身の「がんステージ」を知ることになります。このステージは患者が自身の状況をある程度理解しやすいように設計されていますが、数字では分かりにくいこともあります。ではこのステージは一体何を意味するのでしょうか。Hyunsoo Joshua No さんと Trudy Wu さんが説明します。
ステージ番号を理解するには、まず、それを伝える3つの変数を理解する必要があります。医師は「T」「N」「M」の文字を使ったシステムを利用しています。腫瘍の大きさを表すために免疫システムのリンパ節に存在するかや、他の臓器に転移または広がっているかどうかも調べます。
<TNM分類 / Wikipediaから>
T (tumor)
腫瘍(原発巣)の大きさと進展度を表す。T1から4までの4段階に分けられます。
N (nodes)
所属リンパ節への転移状況を表す。転移のないものをN0とし、第一次リンパ節、第二次リンパ節への転移、周囲への浸潤の有無からN3までの段階に分けます。
M (metastasis)
遠隔転移の有無を表す。遠隔転移がなければM0、あればM1となります。
Mステージは、がんの進行のより危険なカテゴリーです。病変細胞が飛散し、他の臓器や骨に定着します。歴史的に、この段階は単に「はい」か「いいえ」の問題でした。なぜなら、がんが転移すると致命的になる可能性がはるかに高くなると考えられるからです。しかし、最近は治療法の進歩により、医学界は Mステージを連続体として再考しています。医師は現在、がんが転移した臓器の数を考慮しています。転移性腫瘍の存在量と特徴も同様です。
これら3つの変数がどのようにして「がんのステージ番号」を決定するのでしょうか? 各TNMの異なる組み合わせは、全体的なステージと相関しており、がんの治療の難しさの順に並べられています。この分類はがんの種類ごとに厳密に定義されており、がんの広がり方の違いを調べた何世代にもわたる研究に基づいています。そして、がんの特性はそのように進展する傾向があります。
重要なのは、特定の全体的なステージが意味するものは「がん」ごとに異なるということです。例えば、乳がんの「T3N1M0」の組み合わせは「ステージ 3」とみなされ、5年生存率は85%です。しかし、同じTNMの組み合わせの膵臓がんは「ステージ2」に分類されますが、治療がより困難となり生存率は15%です。
治療法の進歩により、一夜にして状況が変化することもあります。治療がほぼ不可能と考えられていたがんでも、現在では寛解率も高くなっています。そして、検査の改善のおかげで、早期段階で発見されるがんが増えています。多くの人が癌の現実と向き合う一方で、より良い治療法、より的を絞った治療法が提供されるようになり、そして、これからの数年間にさらなる希望が生まれます。
- TNM Breast Cancer Staging (specific to breast cancer, but detailed and easy to understand)(cancerresearchuk.org)「乳がんのTNM分類」分かりやすい説明