12月9日、Googleは105個の量子ビットを搭載する新量子チップ Willow(ウィロー)を発表しました。Willowは実用的な大規模量子コンピュータへの道を開く「エラー訂正」と「パフォーマンス」を実証しています。Willowでは、量子ビットの数を増やすほどエラー率が指数関数的に減少します。また現在の最速スパコンで10の25乗年かかる計算を5分未満で完了します。来年、Googleはスパコンでは解決できない、「現実世界での使用事例」を提供することを目標としています。人類の難題の解決に期待しています。
- 新量子チップ「Willow」(Google検索)
- Meet Willow, our state-of-the-art quantum chip(12/9 blog.google)
- グーグル新量子チップ、スパコンで10の25乗年かかる計算を5分で完了(12/10 Bloomberg)
第1は、Willowでは、より多くの量子ビットを使用してスケールアップするにつれて、エラーを指数関数的に削減できることです。これにより、この分野で約30年間追求されてきた量子エラー訂正の重要な課題が解決されます。
- Making quantum error correction work(12/9 research.google)
第2に、Willowは、今日の最速スーパーコンピュータでも10セプティリオン(10の25乗年)かかる標準的なベンチマーク計算を5分未満で実行しました。これは、宇宙の年齢を大幅に上回る数字です。
Googleのスンダー・ピチャイCEOは、Xに「Willowは創薬、核融合エネルギー、バッテリー設計などの分野で実用的な応用が期待できる。実用的な量子コンピューター構築に向けた重要な一歩だ」と述べています。
Googleは来年、従来のコンピューターでは解決できない現実世界での使用事例を提供することを目標にしているとしています。「それが今や手の届くところまで来ている」としています。
Google Quantum AI の創設者兼リーダーのハルトムート・ネヴェン(Hartmut Neven)氏は、「高度なAIは量子コンピューティングを利用することで大きな恩恵を受けるだろうということです。私たちの研究室を Quantum AIと名付けた理由です」と言います。
さらに、「量子アルゴリズムには、ランダム量子回路サンプリング(RCS)で見られるように、基本的なスケーリング則があります。AIに不可欠な多くの基礎的な計算タスクにも、同様のスケーリングの利点があります。そのため、量子コンピューティングは、従来のマシンではアクセスできないトレーニング・データの収集、特定の学習アーキテクチャのトレーニングと最適化、量子効果が重要なシステムのモデリングに不可欠です。
これには、新薬の発見、EV用のより効率的なバッテリーの設計、核融合や新しい代替エネルギーの進歩の加速などが含まれます。これらの将来のゲームチェンジャーとなるアプリケーションの多くは、従来のコンピューターでは実現できません。量子コンピューティングによって解き放たれるのを待っているのです」と述べています。