北海道は11月20日、令和6年度(2024年度)道民意識調査の結果を公表しています。「アイヌ施策・アイヌの人々に対する意識について」の調査結果では、アイヌの人々への差別・偏見などを、直接見聞きしたことがあると回答した人が約27%もいました。この割合、北海道内でも地域差があるようです。SNSの普及もあり「差別や偏見となる言動」を意識できる人が増加したとも解釈できます。国際化する日本や共生社会における「差別や偏見」について、学校教育や政策がますます重要になると思います。
- 令和6年度(2024年度)道民意識調査(北海道)
- アイヌ施策・アイヌの人々に対する意識について(pdf 640KB/道民意識調査)
<偏見・差別の定義>
「偏見」は、ある集団に属する人々に対して、特定の性格や資質をみんなが持っていると見なしたり、信じたりする「固定観念(ステレオタイプ)」に、好感、憧憬、嫌悪、軽蔑といった感情を伴ったものです。たとえば、血液型のみによる性格の判断や、学歴のみによる人物の評価などが偏見に該当します。
「差別」は、偏見や固定観念、世間体を気にする意識などが行動や構造として現れることです。たとえば、出身地や性別など、本人には責任のない事柄にとらわれて、合理的な理由なく分け隔てをすることは、差別につながるおそれがあります。
差別は、ジェンダー差別、障害を持つ子どもに対する差別、民族と人種による差別、カースト(社会階級)による差別、HIV/エイズによる差別など、さまざまな問題が国際的にも発生しています。
- Category:Ainu maps(Wikipedia)
2019年施行のアイヌ施策推進法では、「アイヌの人々に対して、アイヌであることを理由として、差別することその他の権利利益を侵害すること」は禁止されています。「あなたは、このことを知っていましたか。」との問いに、約38%の人が「知らなかった」と答えています。また、年代では18~29 歳(51.9%)が最も割合が高く、学校教育や若年層が接しているメディア(SNS)での対策が重要であることが示唆されています。
白老町の「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の認知は進んでいるようですが、「行ったことがある」人が少な過ぎます。課題は「行きたいと思わせる」要素・魅力のようです。「民族共生」であれば、世界中の先住民族との連携行事や展示など、極端に言えば「テーマパーク的要素」の加味です。国立アイヌ民族博物館は学術や教育施設ですが、「民族共生空間」は拡大解釈して良いと思います。