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Gentau_Pic du Midi d'Ossau

ホワイト水素の巨大埋蔵地は、山脈の地下に存在か?

天然水素(ホワイト水素)は、地球上で天然に存在する高濃度の水素です。このホワイト水素がピレネー山脈アルプス山脈などに大量に埋蔵されている可能性のあることが、新たな研究で明らかになりました。構造地質学者(GFZ)のフランク・ツバーン(Frank Zwaan)博士のチームが注目するのは蛇紋岩化作用(Serpentinization)です。これは地球のマントルに由来する鉄分の豊富な岩石と水が反応することで「水素」を生み出す現象を指します。科学誌サイエンス・アドバンシスに研究論文が掲載されています。

sciadv
Conceptual depiction of a natural H2 system linked to serpentinization of exhumed mantle in the overriding plate of a rift-inversion orogen. / Science Advances(Frank Zwaan)

ホワイト水素は米国やオーストラリア、フランスなどの各地で発見されていますが、大規模な埋蔵地を見つけることが課題となっていました。科学者らはプレートモデリングを使って、こうしたマントルの岩石が「掘り起こされた」地点と年代、及びその量を突き止めました。

その結果、ピレネー山脈や欧州のアルプス、ヒマラヤ山脈の一部がそうした地点に該当することが分かりました。現地では大量の適温のマントル岩や深い断層がもたらす水の循環など、ホワイト水素を生み出す上での好条件がそろっているということです。

マントルの岩石が地表付近に存在する地点を掘削し、そこに水を送り込むことで人工的に「蛇紋岩化作用」を起こすことも可能かもしれないと、ツバーン氏は付け加えています。初期段階の探索は既に、フランスやバルカン半島、米国などで実際に行われています。

Gentau_Pic du Midi d'Ossau
ピレネー山脈のピク・デュ・ミディ・オッソーとGentau湖 / Wikipedia

ホワイト水素は純度が高く、地球が継続的に生成するエネルギーであるため、エネルギー源を大きく変える可能性があります。水素貯蔵庫は、熱せられた水が鉄分を豊富に含む岩石と接触することで形成され、米国地質調査所によると、こうした鉱床のほんの一部でも、数百年分のクリーンエネルギーを供給できるとしています。

商業用水素の製造には、水を水素と酸素に分解する作業が必要であり、これにはエネルギーが必要です。化石燃料を使用すると、その過程で温室効果ガスが排出され、その結果は「グレー水素」と呼ばれます。風力や太陽光発電からの再生可能電力を利用して「グリーン水素」と呼ばれるものを生産すると、よりクリーンですが、より高価になります。

フランスのいくつかの地域で天然水素の鉱床が偶然発見されています。地球の奥底からシャンパンの細かい泡のように湧き出るホワイト水素(^^) フランス24のレポートです。(下記動画)

2012年にマリ共和国ブーラケブグBourakebougouでは、天然水素の生産パイロットプロジェクトが開始されています。(下記動画参照)

オーストラリア南部のヨーク半島でも3年前に設立されたスタートアップ企業が「ホワイト水素」の発掘を進めています。発掘している企業が独自に試算したところ、1キログラム当たり1ドルと、従来の水素の5分の1から10分の1のコストで生産できる可能性があるといいます。(下記記事から)

地球規模の「ホワイト水素の巨大埋蔵地」を探査・発見するためにこそ、最先端の人工衛星や最先端AI(人工知能)、最速スパコン資源の活用を期待します。

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