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Google Pixel でニューヨーク地下鉄線路の AI異常検知から予防保守へ

2月25日に米ニューヨーク市のメトロポリタン交通局(MTA)は、Google Public Sector と提携し、地下鉄線路の異常を検知する実証実験「TrackInspect」プロトタイプを発表しました。Google Pixelで音響データ、振動データ、位置情報を収集し、AI(人工知能)モデルを用いた予測に活用、92%の精度で線路の異常を検知できることが確認され、今後の本格導入が検討されています。

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MTA and Google Public Sector Announce Preventive Track Maintenance Pilot Program / MTA

現在、ニューヨーク市の地下鉄では、人間の点検員が665マイル(約1,070km)に及ぶ全線を歩きながら、レールの破損や信号の故障、水害などの問題を目視で確認しています。また、年に3回「トレインジオメトリーカー(Train Geometry Cars)」と呼ばれるセンサー搭載車両が運行し、より高度なデータを収集して分析しています。

「TrackInspect」プロトタイプは、Google Public Sectorの Rapid Innovation Teamと共同で開発され、センサーとクラウドおよびAI機能を統合して、潜在的な線路の問題を検出します。市販のGoogle Pixelスマートフォンが、地下鉄A系統のR46地下鉄車両に後付けされています。付属のマイクを備えた内蔵センサーを通じて微妙な振動や音のパターンを捉え、予防保守の必要性を知らせる機能もあります。また、TrackInspectは生成AIを活用しており、検査官はメンテナンス履歴、プロトコル、修理基準について質問し、明確な会話形式の回答を得ることができます。

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190丁目駅に到着するR68形電車(2017年5月)/ Wikipedia

MTAで14年間勤務するニューヨーク市交通局(NYCT)の副主任技術者であるロバート・サルノ(Robert Sarno)氏は、通常の業務の合間にノイズキャンセリングヘッドフォンを装着し、地下鉄の通常の走行音と、異常があるときの音を区別するために5~10分間の線路音を聞いています。音を聴いて「緩んだ継ぎ目」「緩んだボルト」「レールの欠陥」「枕木の損傷」などを分類して印をつけます。その後「点検員が現場に行き、写真を撮って実際の状況を確認するのです」とサルノ氏は説明します。

Googleによると、このサルノ氏のデータ分類に加え、TrackInspectでは 3億3,500万件のセンサー測定データと1,200時間分の音声データを、ニューヨーク市交通局の線路異常データベースと組み合わせ、約200種類の予測モデルを訓練して線路の異常を検出できるようにしたそうです。

潜在的な地下鉄線路の問題を見つけて診断することで、コスト効率の高い方法で軌道の修復プロセスをより迅速かつ正確に行うことができます。軌道の問題をより早く見つけて修正することで、地下鉄の遅延が減り、毎日何百万人もの乗客にとってよりスムーズなサービスが実現します。

MTAは、予測メンテナンスと、AI主導のソリューションに投資することで、地下鉄ネットワークの長期的な持続可能性の確保に向けて大きな一歩を踏み出しています。MTAは将来的に地下鉄線路の異常を自動で検知し、修理計画を管理できる「近代化されたシステム」の構築を目指しています。

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New York City subway maps / MTA

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