第二次世界大戦時にナチス・ドイツによって略奪されたイタリアの名画が、80年以上たって、アルゼンチンの住宅販売のWeb広告の中で見つかりました。この絵画はフラ・ガルガーリオ(Fra Galgario)作の「婦人の肖像(Portrait of a woman)」です。オランダの日刊紙(Algemeen Dagblad:AD)によると、元ナチス高官の娘がこの家を売りに出したことで、広告写真が掲載されたと言います。
- Painting stolen by Nazis during WWII believed discovered in Argentine real estate listing(8/27 ABC News)
- Painting looted by Nazis has vanished again, say Argentine police(8/28 BBC)

絵画が写っていたのは、アルゼンチンの首都ブエノスアイレス近郊の住宅を紹介する写真で、ソファの後ろの壁に掛けられています。この家は一時期、戦後に南米に移住した元ナチス高官が所有していた物件です。「婦人の肖像」は、戦時中にユダヤ人の逃亡を助けた美術商ジャック・グードスティッカー(Jacques Goudstikker)氏のもとから略奪された多数の美術品の一つとされます。
- ナチス・ドイツによる略奪(Wikipedia)
約10年にわたってADの調査により、ナチス親衛隊(SS)の将校で、ヘルマン・ゲーリング国家元帥の側近だったフリードリヒ・カドギエン(Friedrich Kadgien)財務顧問がこの絵画を所有していたことを示す、戦時中の文書が発見されました。カドギエン氏は1945年にスイスに逃げ、その後ブラジルを経てアルゼンチンに渡って実業家として成功していました。
AD紙のジャーナリスト・シリル・ロスマン(Cyril Rosman)氏は数年にわたり、故カドギエン氏の娘2人に父親や行方不明の美術品について話を聞く試みをしましたが、無駄だったと伝えています。しかし、娘が高級物件専門の不動産業者を通して家を売りに出したことで、幸運にもこの絵画の存在を知ることができたと言います。
オランダのアムステルダムでユダヤ人美術商からナチスが奪い去った絵画で、戦時中に失われた美術品のデータベース(Lost Art Database)にも掲載されています。

アルゼンチン警察が家宅捜索を行ったところ、この絵画は発見されませんでした。捜索で武器2丁が押収されたと連邦検察官カルロス・マルティネス氏が地元メディアに語り、事件を密輸隠蔽の疑いで扱っていると述べています。また、事件は1940年代初頭に遡りますが、この作品の盗難はナチスの大量虐殺の文脈で発生したため、国際法上、時効の適用を受けない犯罪としてインターポールとも連携しています。
長らく行方不明だった芸術作品の復活を最初に報じたAD紙のピーター・スハウテン(Peter Schouten)氏は、「絵画はその後すぐに、もしくはそれに関するメディア報道が出た後に撤去された」という証拠があると述べています。「そこには現在、馬や自然の風景を描いた大きな敷物が掛けられているが、アルゼンチン警察によれば、以前は別の何かが掛けられていたようだ」と語っています。
- Allanaron la casa de la hija del jerarca nazi en Mar del Plata y no encontraron el cuadro robado(8/26 LA NACION)
