2025年のイグノーベル賞生物学賞を受賞したのは、農研機構=農業・食品産業技術総合研究機構の研究員らのグループが受賞しました。研究テーマは「牛にシマウマのような白黒模様の色を塗ると吸血昆虫を寄せ付けない効果がある」ことを実験で確認しました。日本人の受賞は19年連続となっています。
- Ig® Nobel Prize Winners(9/18 Improbable Research)
- Cows painted with zebra-like striping can avoid biting fly attack(10/3, 2019 PLOS)

農研機構の兒嶋朋貴さんらの研究グループは、シマウマが体のしま模様によって血を吸うハエからの攻撃を防いでいるとする研究結果(References)に注目して、家畜の黒毛の牛に白黒の模様を描いて「サシバエ」や「アブ」を防ぐ効果があるかを調べました。
実験では、黒毛の牛を、何も塗っていない通常の状態(CONT)、白い塗料で「シマウマ」のような白と黒のしま模様にした状態(B&W)、白い塗料の代わりに黒い塗料を塗った状態(B)の3つに分けて効果を検証しています。
3つの模様の牛を同時に並べて30分間放置し、ハエやアブなどの虫が牛の体に付着した数や、頭や尻尾を振るなど虫を追い払うような行動を取った回数をそれぞれ観察しました。

その結果、模様を描いた牛は何も描かなかった牛に比べて足や胴体に付いたハエの数が半分以上減ったほか、首振りや足踏みなどハエを追い払う動作も減ったということです。この成果を応用することで、牛のストレスの軽減につながるだけでなく、虫刺されによる感染症を防ぐための殺虫剤の使用も減らせるということです。
兒嶋研究員は今後について「いかに簡単にしま模様を施せるかや、長時間維持できるかが普及には肝要だと考えています。いつかそのような手法が開発されてほしいです」と話していました。
農研機構の児嶋朋貴・任期付研究員は受賞について「今後も努力を続けるためのモチベーションになります」と語っています。受賞式の演説中にはスピーチをハエの模型が邪魔しますが、しま模様のシャツに着替えるとハエが去っていくという一幕もあります。(下記YouTube参照)
- The 2025 Ig Nobel Prize Ceremony(Improbable Research)
下記のYouTubeは、再生開始が Biology Prize(Japan)になってます。