7月15日、フランス国民議会(下院)は、不治の病を患う成人に致死薬によって自ら死を選べるようにする「死の援助」法案を可決しました。一般的に、医師らが致死薬を投与して患者を死なせる行為は「積極的安楽死」とされる一方、医師らが用意した致死薬を患者自身が使うのは「自殺幇助(ほうじょ)」と呼びます。日本はこの議論を避けるべきではありません。
- フランス議会、「死の援助」法案を可決 厳格な条件下で容認へ(7/16 ロイター通信)

厳格な条件の下で、希望する人が致死性物質の提供を受けることが認められます。その物質は本人が自ら投与することも可能ですが、身体的にそれが不可能な場合は、医師や看護師が投与することになります。
「死の援助」の対象は、フランス国民またはフランスに合法的に居住する成人に限定されます。生命を脅かす重篤かつ不治の病を患い、その病状が進行期または末期にあるほか、その病状に起因する絶え間ない身体的または心理的苦痛に苛まれており、十分な情報に基づいた自由な意思表示ができる者となっています。
フランスの世論調査では、「死の援助」の容認について一貫して幅広い支持が示されています。2月に発表されたIfopの調査によると、回答者の84%がこの法案に賛成していました。
医師による自殺幇助(英語: physician-assisted suicide)は、医師が致死量の薬物の処方などの、自殺に必要な知識や手段またはその両方を人に提供することです。積極的安楽死では、患者の希望をもとに医師が薬物を投与しますが、医師による自殺幇助では患者自身の手によって薬物を摂取します。

:憲法裁判所によって合法(または犯罪ではない)と判断されているが、法制化されていない
:非合法
医師による自殺幇助を合法化している国(青色)は、スイス、オランダ、ベルギー、ルクセンブルク、カナダ、ノーザンテリトリーを除くオーストラリア、スペイン、ニュージーランド、オーストリア、ポルトガル、米国の一部の州となっています。
水色のドイツ、イタリア、コロンビアの憲法裁判所は自殺幇助を合法と判断しましたが、まだ自殺幇助の法制化はなされていません。その他の地域(灰色)では医師による自殺幇助は犯罪となります。
スイス、米国、オーストリア、イタリア、ドイツでは自殺幇助が合法なのに対し、積極的安楽死は違法です。日本では安楽死と自殺幇助を明確に区別しないことが多いとされます。