5月1日、AI(人工知能)研究の第一人者として知られるジェフリー・ヒントン(Geoffrey Hinton)氏が、Googleの役職を退いたことを明らかにしました。自らが開発に貢献したAIの危険性について自由に発言するためと説明しています。生成AIの基盤となっている人間の脳の構造に着想を得たニューラルネットワークの研究で知られ、2018年にコンピュータ科学におけるノーベル賞と呼ばれる「チューリング賞」を受賞しています。Googleでは約10年間AIの研究に従事してきました。
- ‘The Godfather of A.I.’ Leaves Google and Warns of Danger Ahead(5/1 The New York Times)
- AIの第一人者ジェフリー・ヒントン氏、グーグル離れる AIの危険性に警鐘(5/2 CNN)
ヒントン氏は、ニューヨーク・タイムズ(5/1 The New York Times)のインタビューで、対話型AI「ChatGPT」に代表される生成AIの普及により、偽の画像や文章があふれ、真実がわからなくなる可能性があると指摘しました。さらに、雇用への影響や兵器開発への利用にも懸念を示し、「悪用を防ぐ方法が見つからない」と述べています。
- Teaching A.I. Systems to Behave Themselves(8/13, 2017 The New York Times)
GoogleやMicroSoftなどのIT大手は、止められない開発競争に陥っているとの見方を示しています。また、AIは膨大なデータを分析、人間が予期していない行動も学習していることから、将来的には人類を脅かす存在になるかもしれないと、ヒントン氏は憂慮しています。
世界各地で動きがでている規制の行方にも影響を与える可能性があります。
2018年のチューリング賞は「ディープラーニング革命の父たち」として、カナダのモントリオール大学教授ヨシュア・ベンジオ(Yoshua Bengio)氏(55)、カナダのトロント大学教授で Googleのエンジニアリングフェローも務めるジェフリー・ヒントン(Geoffrey Hinton)博士(71)、米ニューヨーク大学教授で FacebookのAIラボ所長でもあるヤン・ルカン(Yann LeCun)博士(58)の3人に授与されています。(役職は当時)