6月30日、Googleは Commonwealth Fusion Systems (CFS) 社との新たな提携を通じて、バージニア州チェスターフィールド郡に建設予定の同社初の商業プラント(ARC発電所)から、200MW(核融合エネルギーにおける企業直接購入契約として過去最大規模)を調達します。また、CFS社へ2度目の資本投資を行ない、同社の有望な科学的・工学的ブレークスルーの基盤構築と技術の商業化に向けた継続的な推進を支援します。
- Our latest bet on a fusion-powered future(6/30 Google)
- Google deal helps propel CFS fusion energy onto the grid(6/30 CFS)

核融合を成功させるには、先ずどの技術的経路が消費エネルギーよりも多くのエネルギーを生産できるか(「正味エネルギープラス」または「Q > 1」)を証明する必要があります。この野心的なマイルストーンを達成した民間企業はまだありませんが、近年のブレークスルーによりCFS社は実現に一歩近づいたとしています。
2010年以降、Googleは22GWを超えるクリーンエネルギーを調達しており、これによりこれらの技術は成熟し、データセンターのエネルギー排出量を12%削減することに成功しています。これには、先進的な原子力発電や次世代地熱発電に関する画期的な契約、有望な初期段階の技術に対する支援があります。Fusionをポートフォリオに追加するのは、地球に豊かで持続可能なエネルギー供給に変革をもたらす可能性を秘めているからとしています。
- Read Google’s 10th annual Environmental Report(6/27 Google)

先進国の電力会社は、データセンターやAIの検索による需要にいかに対応するかに頭を悩ませています。しかし、世界的に見れば、人々を涼しく保つことの方が、電力網にとってより大きな負担となり、電力セクターにとってより差し迫った課題となりそうです。世界のデータセンターとエアコンの消費電力は、今後10年間でともに3倍に増加すると予測されており、老朽化した電力網や新規電源の整備遅れに直面する電力会社にとって大きな試練となるとしています。
- コラム:世界の消費電力10年後数倍に、AI需要より重大な「冷房需要」問題(6/28 ロイター)
- フュージョンエネルギー白書(6/3 pdf / J-fusion)

米国と中国は、クリーンエネルギーである核融合発電の実現と商業化をめぐり、ハイテク競争を繰り広げています。核融合はCO2を排出せず、放射能も極めて少ない、ほぼ無限のエネルギーを生み出す可能性を秘めています。もし中国が勝利すれば、米国がサプライチェーンの国内シフトを進めているなか、世界各国のエネルギー資源をめぐる競争で、中国が優位に立つことになります。
WSJは、世界中でエネルギー資源をめぐる競争が激化する中で、何が問題になっているかを探ります。WSJの米国対中国シリーズは下記から
- U.S. vs. China | WSJ(YouTube List)28本
- 核融合技術の総合研究施設「夸父」、建設進む 中国安徽省合肥市(9/22, 2023 AFPBB News)