Google Nowcastは、米国および欧州の一部の地域で先行して提供している高精度天気予報です。日本では最も頻繁に天気予報がGoogleで検索されていることもあって、最大12時間先まで5分ごとの降水量予測を表示します。ウェザーニューズとのパートナーシップを通して、最先端のニューラル気象モデル(MetNet-3 )を基に構築された、新しい「雨量予測モデル」を開発しています。7月からGoogle検索と、Androidのホーム画面で利用できるようになる予定です。
- Google 検索の便利な新機能のご紹介 : より正確な天気予報とハッシュタグで検索可能に(6/19 Google Japan)
- ウェザーニューズ、AIを活用した新たな気象予測技術 「Google ナウキャスト」をGoogleと共同開発(6/19 Weathernews)
- MetNet-3: A state-of-the-art neural weather model available in Google products(11/1, 2023 Google Research / Google DeepMind)
ウェザーニューズは、2005年からユーザーから天気に関する写真や情報を収集する「ウェザーリポーター」という取り組みを行っており、長年にわたり高解像度の気象実況データを蓄積してきました。このデータが、MetNet-3モデルの精度向上に大きく貢献したということです。
AIモデルを使って過去の観測データから直接予測できるようになったため、従来の予測モデルでは1時間以上かかっていた予測計算が1秒で完了するようになったそうです。
- Google Nowcast について(Google検索 ヘルプ)
現在の主流となっている気象予測の手法は、熱力学や物理法則に基づいて気象を表現するモデルを計算機上に構築し、スーパーコンピュータを駆使してシミュレーションを行うものです。この気象予測モデルは多数のパラメーターや、空間グリッド間の複雑な依存関係などを扱う必要があり、シミュレーションには膨大な計算量と時間が必要となります。
最先端のニューラル気象モデル MetNetは、過去の観測データから気象パターンの推移をAIモデルにより学習し、シミュレーションによらず、現在までの観測データからこの先の気象パターンを直接導きます。これにより、米国全体の予測でも数秒で正確に行います。さらに、2023年11月には、アーキテクチャを改善し、より高精度な降水予測などが可能となった気象予測モデル MetNet-3を発表しています。
2023年11月、天気予報において AI(人工知能)が気象予測機関を上回る優れた成果を上げたことを、Google DeepMindの研究者チームが発表しました。39年分の観測データを学習させた結果で、ノートPCで実行できるうえ予測の出力には1分もかからないという実力をもっています。(下記を参照)
- GraphCast: AI model for faster and more accurate global weather forecasting(11/14, 2023 Google DeepMind)