MITの工学部の学生たちは、卵の先端が本当に最も強いのかどうかという一般的な考えを検証し、実験を行ないました。その結果、先端ではなく横向きに落とした卵の方が、はるかに耐久性が高いことが明らかになりました。科学界の通説を覆した研究成果は、英科学誌「Communications Physics」に掲載されています。
- MIT engineering students crack egg dilemma, finding sideways is stronger(5/8 MIT News)
- 物理学:卵は横向きに落とすと割れにくい(5/9 nature Japan)

動的落下実験は、卵を横向き(先端ではなく)に落とした方がはるかに弾力性が高いことを明らかにしました。これは巧妙な物理学的トリックによるものです。横向きに落とした卵はショックアブソーバーのように曲がり、硬さを犠牲にして優れたエネルギー吸収力を発揮します。
- Challenging common notions on how eggs break and the role of strength versus toughness(5/8 Communications Physics)
本研究の共著者で学部生研究者のアヴィシャイ・ジェセルソン(Avishai Jeselsohn)氏は、「静的試験では、卵を静止させたまま、割れるまで押し続けました」と説明します。そして、研究者たちは、力学モデリングと数値シミュレーションを用いて実験結果を検証し、垂直と水平の卵を割る力は一定であったにもかかわらず、水平に置かれた卵は柔軟性によりより多くのエネルギーを吸収するという結論に至りました。
これは、落下のようにエネルギー吸収が重要な状況では、水平方向の方がより弾力性がある可能性を示唆しています。次に、「このことが実際に当てはまるかどうかを確認するために、動的落下試験を実施しました」とジェセルソン氏は述べています。

MITのタル・コーエン(Tal Cohen)准教授らは、鶏の卵を垂直方向と横方向の2つの向きで落とした場合の破損状況を比較するため、180回の落下試験を実施しました。3つの異なる高さ(8、9、および10ミリメートル)から硬い表面に60個の卵を落とした結果、垂直に落とした卵は、平均して低い高さで割れやすかったことが観察されました。
著者らは、垂直に落とした卵が割れにくいという一般的な誤解の理由は、剛性、強度、および靭性の物理的性質の混同にあると結論付けています。卵は垂直方向に圧縮された際に剛性が高くなるが、著者らはこれが必ずしもその方向での靭性を意味するわけではないと述べています。
