内部告発サイト・ウィキリークス(WikiLeaks)は、米国家安全保障局(NSA)が2006年の第1次安倍政権時から内閣官房や各省庁、日本の大手企業を盗聴していたとする文書の一部を公開しました。かねてから米国による盗聴は指摘されていましたが、その実態が改めて明らかになりました。
Target Tokyo(WikiLeaks)と題されたファイルでは、内閣官房、財務省、経産省ら中央官庁のほかに日本銀行、三菱商事、三井物産など35か所を盗聴していたとしています。さらに、各所の電話番号一覧が表示され「政府VIP回線」との表記もあり、同時にNSAが盗聴を元に作成したとする文書も公開しています。
NSA主体で運営されている有名な通信傍受システムエシュロン(Echelon)の誕生は、1943年5月17日に「英米通信傍受協定」が結ばれ、この時にエシュロン・システムが誕生しています。フランス語で「(梯子の)段」を意味する語・échelonに由来しています。
1948年には米(USA)英(GBR)カナダ(CAN)オーストラリア(AUS)ニュージーランド(NZL)間の秘密協定として「UKUSA協定」が結ばれ、通信傍受の協力体制が作られました。協定締結組織は、ファイブ・アイズ(Five Eyes)とも呼ばれます。
エドワード・スノーデン氏の告発により、PRISM(監視プログラム)で光ケーブルによるデータ通信さえも盗聴されていたことが明らかになっています。収集・分析・分類・蓄積・提供の各機能によって構成されていると考えられています。
日本のエシュロン傍受施設は青森県の三沢基地に置かれています。日本政府、日本企業も監視の対象とされ、無線、短波無線、携帯電話、インターネット回線など、ありとあらゆる日本国内の通信が常に傍受され、データはニュージーランドの通信所に送られてエシュロンに蓄積されているといいます。
日本に関する情報収集の対象は主に経済分野であり、米国政財界を更に有利にするためトップの意思決定について情報収集を重点的に行っているとされます(日本とエシュロン/Wikipediaより)
安倍政権が秘密保護法や、日本版NSC(国家安全保障会議)、安保関連法制を進めていますが、コンピュータやセキュリティ関連のスキル、IT教育体制の遅れやIT人材の大幅な不足など、「情報戦争」と言われて久しい世界情勢にあっても、日本はとんでもなく危機感が欠如しているように思います。
- NSA: 日本政府首脳の電話を盗聴する経済スパイ行為、盗聴した情報は日本以外の同盟国と共有(Businessnewsline) サイトは閉鎖しました。
- 米情報収集見直し、なお厳しい声 欧州・南米など(1/18, 2014 日経新聞)