国境を越えた人々の移動の本格的な再開につなげようと、新型コロナウイルスのPCR検査の結果やワクチンの接種履歴をスマートフォンのアプリで表示する、世界共通の検査結果証明書の開発が進んでいます。世界経済フォーラム(WEF)とコモンズ・プロジェクト財団(The Commons Project Foundation)などが協力して開発を行っており、日本でコモンパスの実証実験が始まりました。また、ANAでは IATAトラベルパス(IATA Travel Pass)の実証実験を始めています。
- 世界共通のデジタル証明書 日本で実証実験始まる(3/15 NHK News)
- ANA、デジタル健康証明「IATAトラベルパス」の実証開始、コロナ検査結果やワクチン接種記録をアプリで管理(3/10 トラベルボイス)
WEFの藤田隆典(Fujita Takanori)氏は、「これはデジタル証明書なので、改ざんのリスクが低く、持ち運びも簡単です。これは、人々が安全に国境を越えて移動できるようにするための効果的な方法になると信じています。」と述べています。コモンパスの実証実験は、米ユナイテッド航空や香港のキャセイパシフィック航空、ドイツのルフトハンザ航空など、世界各地の航空会社も進めています。日本航空(JAL)と全日本(ANA)は、まもなくアプリをテストする予定です。
WEFなどは、ワクチンの接種履歴も表示できるようにして世界各国の航空会社に採用を働きかけていく方針で、入国手続きへの導入に向けては、政府との連携が進むかが鍵になります。また、ワクチンの接種を希望しない人などへの対応も課題になりそうです。コモンパスの説明は下記リンク(国際文化会館)でご覧ください。
- テクノロジーとデータの活用を通じてより安全な国境往来を目指す(コモンズ・プロジェクト / 国際文化会館)
およそ120か国、約265社の航空会社が加盟する国際航空運送協会(IATA)が開発を進めているデジタル証明書アプリ IATAトラベルパス(IATA Travel Pass)の実証実験も、全日空(ANA)の国際線で実施します。
IATAトラベルパスは、利用者のパスポート情報を読み取り、顔認証で本人確認したうえでデータを取り込み、新型コロナウイルス検査結果やワクチン接種記録をデジタル証明書として管理するものです。
アプリには最新の各国の入国要件も反映されます。IATAトラベルパスは現在、全世界でANAを含め航空会社13社がプロジェクトに参画。実用化に向けた準備を進めています。エミレーツ航空、エティハド航空、カタール航空の中東3社も今春から実証を開始すると発表しています。
Trials are underway on smartphone technology that stores travelers’ test results and vaccination status. pic.twitter.com/6fbvxwErBh
— NHK WORLD News (@NHKWORLD_News) March 15, 2021
- デジタル版「健康パスポート」は海外旅行再開の切り札になるか?証明アプリの種類やリスクをまとめた【外電】(2/18 トラベルボイス)