Googleが国防総省のプロジェクト・メイブン(Project Maven / DoD)に関する契約を獲得して以来、社内外から反発が起きていることをニューヨーク・タイムズが報じています。この国防総省のプロジェクトは、動画の解析にAIを使おうというものです。Googleの内部での衝突は、Project Mavenの仕事が無人機(ドローン)の殺傷する標的設定のために使用される可能性があることから始まっています。また、国防総省などから GoogleのAIが戦争においてますます中心的な役割を果たすことが期待されていることから、より緊急に議論が行われていました。
- How a Pentagon Contract Became an Identity Crisis for Google(5/30 The New York Times)
- グーグル社員、抗議の一斉辞職「ドローン軍事利用」に反発(5/15 Forbs Japan)
約4,000人の従業員が、GoogleのCEOサンダー・ピチャイ氏に国防総省との契約を解約するよう求める手紙に署名しています。ギズモードによると、10人以上の従業員が抗議の辞職をしました。
- Project Maven to Deploy Computer Algorithms to War Zone by Year’s End(7/21, 2017 DoD News)
ニューヨーク・タイムズによると、CEOのピチャイ氏は5月31日(現地時間)に行われた全社会議でこの件に触れ、AIの軍事利用に関するガイドラインを作成する予定と語りました。ガイドラインによって、AIの軍事利用を止めることができると Googleは述べています。また同社はその後、国防総省との契約を更新しない模様と伝えられています。
Google Cloud Platformで AIのチーフ・サイエンティストを務めるフェイフェイ・リー(Fei-Fei Li)氏は、「私は、人間を中心に考えられたAIは、ポジティブかつ善意ある形で人々に利益をもたらすと信じている。私がAIの兵器化を考えるプロジェクトに関わることは、私の方針に著しく反している」と語っています。
TED2015で、彼女は写真を理解できるようコンピュータに「教える」ために構築された1,500万の画像データベースをはじめとして、AI分野の最先端と今後について胸躍る講演をしています。
- TED Speaker/TED Attendee: Fei-Fei Li(AI pioneer)
講演で「コンピュータアルゴリズムの訓練にビッグデータを使うというアイデアは、今からすると自明なものに見えるでしょうが 2007年当時はそうではありませんでした。かなり長い間こんなことをやっている人は私たち以外にいませんでした。親切な同僚が将来の職のためにもう少し有用なことをした方がいいとアドバイスしてくれたくらいです。研究資金にはいつも困っていました。資金調達のためにクリーニング屋をまた開こうかしらと学生に冗談で言ったくらいです。私が学生の頃学費のためにやっていたことです」と語っています。
最後に「私が追い求めているのは、コンピュータに視覚的な知性を与え、レオ(息子)や世界のためにより良い未来を作り出すということです」(拍手)