観る私たちを問うセルゲイ・ロズニツァの「群衆」

「セルゲイ・ロズニツァ“群衆”ドキュメンタリー3選」は、ロズニツァ監督(Sergei Loznitsa)の近年の作品群に焦点を当てたドキュメンタリー・セレクションです。様々な時代の群衆と人々の顔を見ることで、時代を突き動かしているのが「群衆」であり、その時代の象徴が私たち一人一人の「顔」であることに気がつかせてくれます。過去と現在に同時代性を感じた時、私たちは、“現代(いま)”、どのような顔をしているのか・・・。いまこのドキュメンタリー映画が話題です。

スターリンの国葬『国葬』(2019)/ Facebook

20世紀最大級のスペクタクルとしてのスターリンの国葬、スターリンの独裁体制と後の大粛清につながる裁判、そして人類史上最大の悪が行われたホロコーストの現場。時代と群衆に眼差しを向け、映画に新たな視座を提示する、鬼才セルゲイ・ロズニツァ作品、待望の日本初公開。面白そうなドキュメンタリー映画です。

2010年以降、ロズニツァ監督は二通りの手法でドキュメンタリーを製作してきました。一つは発掘されたアーカイヴ・フィルムを断片的に使用するのではなく、時系列に沿いながら、全編を通じて最初から最後まで各リールを長尺のカットで繋ぎ、類を見ない作風で歴史をそのまま現代に蘇らせます。もう一つの手法は、各時代の戦争やその表象を考察するオブザベーショナル映画です。これらの作品では、ロズニツァ監督は度々「群衆」を象徴的に登場させています。

セルゲイ・ロズニツァ《群衆》ドキュメンタリー3選 / Facebook

<作品紹介>
1 ) 国葬 (2019/カラー、モノクロ/ロシア語/135分)
1953年3月5日。スターリンの死がソビエト全土に報じられた。発見されたフィルムにはソ連全土で行われたスターリンの国葬が記録されていた。67年の時を経て蘇る人類史上最大級の国葬の記録は、独裁者スターリンが生涯をかけて実現した社会主義国家の真の姿を明らかにする。

2 ) 粛清裁判(2018/モノクロ/ロシア語/123分)
1930年、モスクワ。8名の有識者が西側諸国と結託しクーデターを企てた疑いで裁判にかけられる。発掘された90年前のフィルムには無実の罪を着せられた被告人たちと、それを裁く権力側が記録されていた。捏造された罪と真実の罰。独裁者スターリンによる大粛清の始まり。

3 ) アウステルリッツ(2016/モノクロ/ドイツ語、他/94分)
ある夏のベルリン郊外。群衆が門に吸い寄せられていく。辺り構わずスマートフォンで記念撮影をする人々。ここは第二次世界大戦中にホロコーストで多くのユダヤ人が虐殺された元強制収容所だ———ドイツ人小説家・W.G.ゼーバルトの著書と同じ名を冠する、ダーク・ツーリズムのオブザベーショナル映画。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です