7月26日、サウジアラビアのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は、スマートシティ構想 Neomの一環として全長170km・高さ500m・幅200mの都市デザイン「The Line」を発表しました。この The Lineは100%再生可能エネルギーで稼働し、道路や車、排気ガスから人々を解放して健康を優先、また都市機能を縦に積み重ねて3次元的シームレスな移動を可能とし、将来の都市コミュニティのあり方を体現するとしています。サウジアラビアの戦略的フレームワーク、サウジビジョン2030(Saudi Vision 2030)のプロジェクトです。
- The Line(en:Website)
- Neom(en:Website)
- サウジアラビア 「ビジョン2030」(pdf/Jetro) 日本語翻訳版
ムハンマド皇太子は、このデザインは「多層都市の内部構造を明確にし、従来の平らな水平都市の課題に対処し、都市開発と自然保護との調和を実現する」、「理想的な生活を実現し、人類が直面する緊急の課題に対処する」と述べています。
設計計画によると、The Lineは構造物にユニークな特徴を与える外側の鏡張りのファサードを有し、その小さな面積でも自然と調和するようになる一方で、その内部は「特別な体験と魔法の瞬間」を生み出すように作られるとしています。
都市内部には高速リニアが走行して、端から端まで20分で移動できる予定です。最終的には900万人の住民を収容し、34平方Kmの面積に建設される予定であり、これは同規模の他の都市と比較しても前例のない広さとしています。
批評家は、プロジェクトが技術的に実現可能かどうかについて疑問を投げかけていますが、派手なプロモーションビデオで明らかにされたビジョンを「ディストピア」と表現する人もいます。

The Line, Saudi Arabia / Wikipedia
スマートシティ構想の名前「Neom」の由来は、最初の3文字の「NEO」は「新しい」を意味するラテン語、4文字目の「M」はアラビア語で未来を意味する「Mostaqbal」の略語、「Neom」は組合せた造語です。Neomプロジェクトは、サウジアラビア政府とビン・サルマン氏が議長を務めるソブリン・ウェルス・ファンドであるサウジアラビア公共投資基金(Public Investment Fund: PIF)と、国内外の投資家から 5,000億ドル(約66兆6,300億円)の支援を受けています。
当初は2025年に完成が予定されていましたが、遅延により Neomの完成日がさらに5年遅れましたが、皇太子は野心的なプロジェクトは順調に進んでいると主張しています。
- Future or fantasy? Designs unveiled for one-building city stretching 106 miles in Saudi Arabia(7/28 CNN)