ヘビクイワシ(蛇喰鷲:英語:Secretary Bird)は、ワシのような体とツルのような脚を持つ非常に大きな鳥で、その体高は1.3mに達します。地上で脚を使って獲物を踏み殺す猛禽類は他にいないため、世界で最も際立った猛禽類の一種です。その「超高速の蹴り」を使って猛毒のヘビも捕まえるほか、トカゲやげっ歯類、小鳥、さらには昆虫も標的とします。
- 高速の蹴りで「ヘビ」を狩る、唯一無二の猛禽類「ヘビクイワシ」(8/17 Forbes Japan)

アフリカ固有の大型猛禽類で脚が長く、顔が鮮やかなオレンジ色をしています。猛禽の仲間では珍しく一日の大半を地上で生活しています。サハラ以南の地域の開けた草原やサバンナによく見られます。この鳥の平均寿命は野生では10~15年、飼育下では最長19年と考えられています。
英語では一般的に「secretary bird(書記官の鳥)」と呼ばれますが、それには由来が2つあります。1つ目は、かつて欧州からアフリカにやって来た人たちが、ヘビクイワシの後頭部から長く突き出た黒い羽を見て、書記官が耳の後ろに挟んだ羽ペンにたとえたことです。もう一つは「hunter bird(狩りをする鳥)」または「falcon of the hunt(狩りをするタカ)」を意味するアラビア語「saqr at-tair」の発音が「secretary」に似ているというものです。

ヘビクイワシは獲物を見つけると、硬い脚鱗で覆われた長く強じんな脚を使って超高速で蹴りつけ、獲物を気絶させるか殺してしまいます。その蹴りは正確で、かつ爆発的な威力をもっています。
- The fast and forceful kicking strike of the secretary bird(2016 Current Biology)
2016年に発表(Current Biology)された研究では、飼育していたヘビクイワシを訓練し、床反力計(人が地面に力を加える際に、地面から跳ね返ってくる力を測定する装置)の上に置いたゴム製ヘビを蹴りつけさせて、その力を測定しました。その結果、蹴る力が最大で195ニュートンだったことが解りました。つまり、まばたき(平均で100から150ミリ秒)よりも短いわずか15ミリ秒で、自らの体重(平均で約4kg)のおよそ5倍に相当する力を加えたことになるそうです。

下記のドキュメンタリーでは、ヘビクイワシ(Secretary Bird)が草原をパトロールし、恐ろしいほどの精度で毒ヘビを狩り、恐れを知らぬ攻撃力で縄張りを守る様子を捉えています。
- BBTV Official(YouTube)