7月4日から7日にかけて、米テキサス州のカー郡付近、およびテキサス・ヒル・カントリーの下流で、大規模で壊滅的な洪水が発生しました。短時間に130~280mmの雨が降り、グアダルーペ川(Guadalupe River)沿いの水位は急激、かつ大幅に上昇しました。洪水によって134人の死亡が確認され、うち子どもが36人です。複数の郡で少なくとも101人の行方不明者が報告(7/15現在)されています。アメリカ海洋大気庁(NOAA)の人員と予算削減が、洪水予測や緊急警報の調整能力に悪影響を及ぼしていると、多くのメディアが指摘しています。
- 米テキサス州で洪水(Google検索)
- What We Know About the Floods in Central Texas(7/14 The New York Times)
- July 2025 Central Texas floods(en:Wikipedia)

- 米海洋大気局が職員800人解雇、週内に千人超も 予報や気候の専門家が対象(2/28 CNN)
- Floods in the United States (2000–present)(en:Wikipedia)
7月3日遅く、大西洋の熱帯暴風雨バリー(Tropical Storm Barry)の残留水分が、熱帯東太平洋の残存湿気と合流してテキサス州中部で停滞、7月4日から7日にかけて大雨となりました。特にグアダルーペ川沿いでは、2時間で8.8mの水位上昇を記録し、致命的な洪水を引き起こしました。近年、地球温暖化の影響で大気が温暖化すると、より多くの水分を保持できるようになるため、米国全土で激しい降雨が大幅に増加していると言います。
7月6日、ニューヨーク・タイムズ紙は「堤防決壊、季節的豪雨、ハリケーンなどによる米国におけるすべての致命的な洪水事象の中で、ヒル・カントリーの洪水は1925年以降で最悪の死者数にランクされる可能性が高い」と報じています。

この洪水以前、カー郡には独立した洪水警報システムがありませんでした。2016年、当時のカー郡保安官はサイレンを含む洪水警報システムの導入を提唱しました。ある郡政委員はカー郡は「おそらく州内で最も洪水リスクの高い地域」であると指摘していましたが、システムの高額な費用と地域住民の支持不足で設置が見送られていました。
また、トランプ政権となって国立気象局(NWA)が失った約600人の職員数は、15年間に失った職員数とほぼ同じだと言います。今回の人員削減は前例のないもので、「国立気象局の人員要件全体に間違いなく支障をきたす」と述べ、これまでの人員削減では見られなかった事態を招いているとしています。7月4日に洪水が始まった時点でカー郡当局は通知を受けていたものの、郡の警報メッセージが発信されるまでにはさらに数時間を要しています。
Shocking video shows how quickly the Texas flood waters rose over 20 feet in as little as 37 minutes
- Camp Mystic(en:Wikipedia)