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鉄鋼生産を脱炭素化するグリーンスチール戦略(HYBRIT)

水素による画期的な製鉄技術プロジェクト「Hydrogen Breakthrough Ironmaking Technology: HYBRIT」は、スウェーデンの北部ルレオにパイロットプラントを建設しました。HYBRITは2016年に民間製鉄会社 SSAB、ヨーロッパ最大の鉄鉱石採掘会社 LKAB、国営電力会社 Vattenfallによって開始されたイニシアチブです。「鉄」の還元に炭素ではなく、再生可能エネルギーで電気分解された「グリーン水素」を使って、生産段階でCO2を含まない「グリーンスチール」の製造を開始しています。

Hydrogen Breakthrough Ironmaking Technology (HYBRIT)

直接還元とは、多孔質の純粋な鉄(スポンジ鉄)を生成、同時に鉱石から酸素(O2)を除去します。従来の高炉プロセスではコークスなどの炭素(C)を使っていることからCO2が発生します。HYBRITでは水素(H2)を使って水(H2O)を発生させます。スポンジ鉄(直接還元による固形物)は、このあと電気アーク炉製錬して鉄鋼にします。

コークスベースの鉄鉱石還元プロセスは非常に普及しているため、鉄鋼生産によって排出される温室効果ガスは、人類が発生させる温室効果ガスの約7%を占めています。世界の鉄鋼需要は2050年までに約2倍になるとの試算もあります。そのため、気候変動に立ち向かうには「グリーンスチール」が直ちに必要となります。

Pilot scale direct reduction with hydrogen / HYBRIT

スウェーデンは、世界に先駆け2045年までに温室効果ガスを実質ゼロにする予定です。HYBRITの環境にやさしい鉄から生まれた鉄鋼は SSABで圧延され、最初のグリーンスチールはボルボ・カーズに納品されました。2021年5月には、メルセデス・ベンツとの提携を発表しました。

世界で最も炭素集約的な産業の1つが鉄鋼です。プロジェクトSuSteel(sustainable steel)は、水素ガスよりはるかに高温の水素プラズマを使って鉄鉱石を還元・溶解し、溶解中に炭素を加えることで、製鉄と製鋼の工程を一つにまとめてます。米国の製鉄会社ミドレックス(Midrex Technologies)も HIBRIT同様、完全な水素への移行を目指しています。さらにドイツのハンブルクでは、2025年までに世界第2位の鉄鋼メーカーアルセロール・ミッタル社の商用規模のデモプラントが建設される予定。このプラントでは、水素と一酸化炭素、または純粋な水素の使用が可能としています。グリーンスチール戦略が加速しています。

マサチューセッツ工科大学のスピンオフ企業、ボストン・メタル(Boston Metal)は、鉄鋼を製造するための画期的な電解プロセスを開発しています。この新技術は高炉ではなく電解槽を使用し、炭素ではなく電気を使用し、最終的に二酸化炭素ではなく酸素を放出します。ビル・ゲイツ氏が主導するブレイクスルー・エネルギー・ベンチャーズからの資金も調達しています。

10月14日には、2021 S&P Global Platts Global Metals Awardで、金属および鉱業の新技術賞を受賞しています。2024年までに最初の産業施設を建設し、翌年に商業生産の開始を予定しています。

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