娘は戦場で生まれた(原題:For Sama)は、ワアド・アルカティーブとエドワード・ワッツ(英語版)監督による2019年のドキュメンタリー映画です。いまだ解決をみない未曽有の戦地シリア。深刻な人道危機が発生したアレッポの戦い(2012-2016)が、若き母親ワアドの目を通して綴られていきます。戦闘は激化の一途を辿り、美しかった都市は破壊され、明日をも知れぬ身で母となったワアドは、家族や愛すべき人々の生きた証を映像として残すことを心に誓います。すべては娘(サマ)のために・・・。
- 映画「娘は戦場で生まれた」(公式サイト) 2月29日から全国で順次公開
- For Sama(Official site)
- For Sama (2019)(IMDb) Ratings: 8.5
映画の監督/製作/撮影をしたワアド・アルカティーブ(Waad Al-Kateab)さんは、2011年、国を巻き込んだアサド政権に対する抗議活動が始まったとき、アレッポ大学のマーケティングを専攻する学生でした。何百人もの仲間のシリア人と同様に、彼女は戦争の恐怖を記録することを決意し市民ジャーナリストになっています。
撮影方法を独学で学び、アサド政権軍がアレッポ支配のために反政府勢力軍に弾圧と攻撃をおこなっていたとき、彼女は周りの人たちの苦しみや絶望を撮影し始め、壊滅的な包囲戦の中とどまり、恐ろしい命の損失を記録し、6年間の紛争の最も記憶に残る映像を収録しました。
ワアド監督は「この映画は私の物語であり、私と私の家族に起こったことを映していますが、私たちの経験は特別なものではない、ということを皆さんに理解してほしいと思っています。何十万人ものシリア人が同じような経験をし、今日も悲劇は続いています。」と述べています。
ワッツ監督は「私はシリアでの暴動が始まって以来、その動向を追い続けてきました。この国で実際に起こったことを誤魔化すような嘘やプロパガンダを超え、真実を伝えようとしてきたのです。その真実は、ワアド、ハムザ、サマの勇気や誠実さ、利他主義に具現化されています。ワアドの物語を通して、世界はようやく実際に起こったことを認識し、私たちの犯した悲劇的な過ちの深さを理解し、このようなことを二度と起こさないという強い思いをもう一度持ってもらえたらと願っています。」と述べています。