2月26日、スウェーデンの北大西洋条約機構(NATO)加盟が決まりました。ハンガリー議会が同日、スウェーデン加盟を承認し、全加盟国の批准が出そろいました。先行したフィンランドと合わせてNATOは32カ国体制となります。スウェーデンのウルフ・クリスターソン首相は、「歴史的な日だ。欧州と大西洋の安全保障に責任を負う用意がある」とNATOへの貢献に意欲を示しました。SAAB(サーブ)はハンガリーと最新グリペン戦闘機4機の追加(14機保有)契約を締結、さらにAI研究センターをハンガリーに開設すると発表しています。
- Hungary’s Parliament Approves Sweden’s NATO Bid After Stalling(2/26 New York Times)
- Saab receives Gripen order for Hungary(2/23 Saab)
NATOのストルテンベルグ事務総長はハンガリー議会の承認を受けてSNSにメッセージを投稿し「すべての加盟国が承認し、スウェーデンはNATOの32番目の加盟国になる。スウェーデンの加盟はわれわれすべてをより強く、安全にする」として歓迎しました。また、米国のジェイク・サリバン国家安全保障担当大統領補佐官も、「スウェーデンは非常に有能な軍隊を持つ強力な民主主義国家だ。NATOに加わることで米国と同盟国はより安全になる」と歓迎する声明を発表しました。
「ハンガリーのトランプ」の異名を持つオルバーン・ヴィクトル首相は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領と関係が近いナショナリストの政治家です。EUによるウクライナへの軍事支援を、たびたび妨げてきました。一方のスウェーデンは、ハンガリーがEUの民主主義の原則から離れていると非難していました。先週になってオルバーン氏は、スウェーデンのクリスターソン首相を招き、NATO加盟への支持を表明しています。
2月26日に演説したオルバーン氏は、1年9カ月にわたった承認手続きの遅延を終わらせようと、一部のNATO加盟国がハンガリーに圧力をかけたとして、国名は挙げずに厳しく批判しました。「ハンガリーは主権国家であり、決定の内容や時期を他国に指図されることは容認しない」と述べています。
スウェーデンは小国でありながら強力な防衛産業の基盤があります。戦闘機、潜水艦、水上戦闘機、砲兵システム、先進的な歩兵車両を生産できる1,000万人規模の国はスウェーデン以外にありません。また、2023年のIMD世界デジタル競争力ランキングは7位(フィンランドは8位)です。なお、日本は過去最悪の32位にまで後退しています。
スウェーデンのポール・ヨンソン(Pål Jonson)国防相は、「NATO加盟国への攻撃の抑止力と防衛に貢献できることがたくさんあると思います」として、「1つはバルト海に関するわれわれの能力です。われわれはバルト海で潜水艦を運用し、潜水艦を製造できます。パトリオット・システムによる強力な防空能力もあり、90を超えるグループによる強力な防衛産業の基盤を有しています。特に、ロシアを対象とした強力な情報機関などもあり、地理的にも北欧諸国の中心に位置しています。防衛費に関してもかなり力を入れていて、2024年は2020年と比べると2倍、GDPの2.2%に達しています」と述べています。
- プーチン氏の誤算?中立政策転換スウェーデンのねらいとは?(2/16 NHK News)
分散空軍基地を運用するスウェーデンのシステムは数10年前に遡ります。最小限のリソースで、分散した異なる空軍基地間を迅速に移動できるため、私たちは予測不可能となります。グリペン戦闘機は最初からそれを念頭に置いて設計されています。
- スウェーデン関連情報(Google検索)
NATO正式加盟:フィンランド(4/4, 2023) スウェーデン(3/7, 2024)