さまざまな動物の眼を覗き込むと、不思議な形の瞳孔を目にすることがあります。例えば、イエネコは縦に細長い瞳孔を持っているトワイライト(twilight)ハンター。ヤギのように草を食べる動物の瞳孔は長方形であることが多く、また三日月型やハート型の瞳孔を持つ動物もいます。どうなっているのでしょうか? なぜ、こんなにたくさんの瞳孔の形があるのでしょうか? ジャーナリストのエマ・ブライス(Emma Bryce)さんが、動物の視覚を科学的に解明します。
動物の瞳孔の形は、その動物が生態系でどのような役割を果たしているかを示す重要な指標だと解って来ました。ネコの瞳孔は、暗闇の中で劇的に拡大し、利用可能な光を取り入れます。明るいときはスリット状に縮みます。
ネコの瞳孔は非常に柔軟で、最大面積は最小面積の135倍にもなります。私たち人間の瞳孔は15倍しか収縮および拡張しません。スリット状の瞳孔から光を取り込むため、垂直にシャープな輪郭を描きます。ネコの脳は左右のわずかな違い(視差)を利用して、標的との距離を正確に判断しています。
他の多くの「待ち伏せ型ハンター」も縦に伸びた瞳孔を持ちます。地面に近い位置に目を持つハンターが近距離で狩りをする時に、この縦長の瞳孔が特に有効であるためと思われます。
では、なぜ人間は丸い瞳孔を持っているのでしょうか? 瞳孔を長くすることで視覚の一部をより鮮明にすることができます。しかし、円形の瞳孔を持つ動物にとっては優先順位が低いと考えられています。私たち人間は、ある風景を極端にフォーカスして見るのではなく、広く大きな対象物を詳細に見ることで、より一般的な観察力を身につけることができるのです。このことは、食料を探す採食者、獲物を目で追いかける狩猟者、相手の顔を認識する社会性動物などに特に役立っていると思われます。
まだ、ほんの一部の瞳孔の形しか調べていません。他の動物には三日月型やハート型の瞳孔もあります。また、イカの瞳孔は、暗いところでは円形ですが、明るいところでは W型になるという、おそらく最も奇妙なものです。さて、ここで何が起こっているのだろうか? みんな知りたくないですか?