ウクライナのキーウ(キエフ)近郊で2022年3月に発生したブチャの虐殺について、米ニューヨーク・タイムズはヤブロンスカ通り(Yablunska Street)沿いの犠牲者のうち、36人の身元を特定したとする記事を掲載しました。犠牲者の家族や友人・同僚に取材して人物を特定し、衛星画像、数千時間に及ぶビデオ、SNSの投稿、テキストメッセージ、無線、携帯電話の記録などから犠牲者の最期の瞬間を辿る内容となっています。関与した22名のロシア軍兵士も特定しています。
- Caught on Camera, Traced by Phone: The Russian Military Unit That Killed Dozens in Bucha(12/22 The New York Times)
- Visual Investigations(The New York Times)
米ニューヨーク・タイムズは、何ヶ月もウクライナに滞在して静かな町ブチャの一つの通りで何10人もの民間人を殺した犯人を調査しました。ビジュアル調査報道チームは、独占的に入手した電話記録、文書、インタビュー、数千時間のビデオを使用して、虐殺実行犯の正体を明らかにしました。
米ニューヨーク・タイムズによる8か月にわたるビジュアル調査で、ヤブルンスカ通り沿いの虐殺の主犯は、アルチョム・ゴロディロフ中佐(Lt. Col. Artyom Gorodilov)が率いる第234空中機動連隊のロシア空挺部隊であると結論付けています。
ロシア西部のプスコフ市に拠点を置く空挺部隊の第234空中機動連隊と特定する証拠には、軍事装備、ユニフォームのバッジ、弾薬箱の梱包伝票、携帯電話の記録、無線の雑談と指揮官のコールサインなどがあります。さらに、Janes Information Services(ジェーンズ)と戦争研究所(ISW)の軍事専門家が、ロシアの装甲車両とそのマーキング、および視覚的な証拠に見る戦術展開について分析・洞察しています。
ロシア軍は明らかに、キエフに通じる主要ルートを確保するための冷酷な「掃討」作戦の一環として人々を殺害しています。兵士たちは、武装していない戦闘員年齢の男性を尋問して処刑し、家族と一緒に逃げる子供たち、食料品を探している地元の人々、自転車で家に帰ろうとしている人々、そして無意識のうちに道を横切った人々なども無慈悲に殺害しました。
米ニューヨーク・タイムズは、「ロシア国防省、ワシントンのロシア大使館、掃討作戦直後に昇進したゴロディロフ大佐はコメントの要請に応じなかった」と述べています。
<閲覧注意:28分50秒>
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- Exposing the Russian Military Unit Behind a Massacre in Bucha | Visual Investigations(The New York Times / YouTube)