ホモ・エレクトス(Homo erectus)は、約200万年前の更新世に生息し絶滅した古代人類の一種です。人間のような体型と歩行を進化させ、火を扱うようになった最初の人類種です。ホモ・エレクトスは、少なくとも120万年前には砂漠のような環境に適応し、生き延びることができていたとする論文がネイチャーに掲載されました。環境の適応には、新鮮な水を得るために特定の川や池に何千年もの間繰り返し戻ることや、特殊な道具の開発が含まれているとしています。この適応能力がホモ・エレクトスの地理的範囲の拡大につながったかもしれないと提案しています。
- 進化:初期の人類は100万年以上前に過酷な砂漠の条件に適応した(1/17 nature)
- Homo erectus adapted to steppe-desert climate extremes one million years ago(1/16 nature)
初期人類が砂漠や熱帯雨林などの極端な環境で生き延びる適応能力をいつ獲得したかについては、これまでの研究では、ホモ・サピエンス(Homo sapiens)だけであるという結論が頻繁に導き出されていました。
Julio MercaderとPaul Durkinらは、初期の人類の重要な遺跡であるタンザニアのオルドゥパイ峡谷(Oldupai Gorge)にあるエンガジ・ナンヨリ(Engaji Nanyori)で、考古学、地質学、および古気候学のデータを収集した。著者らは、約120万年前から100万年前にかけて、この地域では半砂漠状態が続き、特徴的な植物相が存在していたと報告しています。
この地域のホモ・エレクトスの集団は、池などの淡水が利用できる場所に繰り返し戻って生活し、スクレーパーや抉入石器(歯状器)などの特殊な石器を発達させることで、その期間にわたってその環境に適応しました。著者らは、これらの石器はおそらく食肉処理の効率を高めるために使用されたと推測しています。
これらの発見は、ホモ・エレクトスが極端な環境下で生き延びる適応能力が、以前考えられていたよりもはるかに高かったことを示していると指摘します。また、著者らは、ホモ・エレクトスは、極端な生態系に適応できるのはホモ・サピエンスだけであるというこれまでの仮説に反する結果であり、ホモ・エレクトスは、アフリカやユーラシア大陸のさまざまな環境で生き延びることができる汎用種であった可能性があると結論づけています。
- Category:Homo erectus models(Wikimedia Commons)
- Homo erectus (Sensu Lato and Sensu Stricto)(Professor Dave Explains/YouTube)
- 人類の進化(Wikipedia)