米国のバイデン政権が、12月9日から10日にかけてオンライン形式で主催した「民主主義サミット」で、最終日10日、パネル討論会中に台湾の唐鳳(オードリー・タン / AudreyTang)政務委員(IT担当)の説明スライド動画から画像が消され、音声だけになる一幕がありました。米ホワイトハウスは画面共有の混乱に伴う「純然たるミス」とし、映像の遮断を指示していないとしています。タン氏の全映像と全文が公開されています。
- Panel Discussion – Countering Digital Authoritarianism and Affirming Democratic Values(Day Two – December 10, 2021 / state.gov)
このスライドは、南アフリカのNGO(Civicus)が発表している、国ごとの「市民の権利の開放度」を示す世界地図です。台湾と中国が違う色で塗られ、一見すると台湾を独自の存在と表示する形になっています。
地図では、台湾が民権(人民の権利)で「開放的」を示す緑色だった一方、中国はアジア地域ではラオスやベトナム、北朝鮮と並んで「閉鎖的」を示す赤色です。日本は「一部制限(黄緑)」としています。
- 民主主義サミット、タン氏の映像が途中遮断 米政権は指示否定(12/13 ロイター)
- 台湾の登壇映像カット、米議員が償い要求(12/15 AFPBB News)
関係者の1人によると、地図が画面に出たとたん、NSC担当者は怒って国務省に連絡を入れ、台湾が個別の国であることを示しているように見えるとの懸念を伝えたそうです。消息筋は映像の遮断について、地図そのものは国境を明示したものではなく、米国が過剰反応したと指摘しています。
台湾外交部(外務省)は「技術的問題」と指摘。その後、タン氏のプレゼン資料は前もって米側に提供していると説明しました。
ホワイトハウスの国家安全保障会議(NSC)の報道官は、ロイターの報道内容が「正確でない」と指摘。電子メールで「ホワイトハウスはタン氏の映像遮断を一切指示していない」としています。画面共有の混乱に伴う「純然たるミス」とし、同サミットのWebsiteで全映像を視聴できる(下記のYouTube)と説明しています。
タン氏は、「人権団体Civicusは、毎年20以上の地域パートナーとともに、世界中の市民活動の自由を調査しています。台湾は3年連続で”完全オープン”と評価されています。今年は台湾がアジアで唯一の緑色です。民主的な台湾はどこから来たのでしょうか? 台湾のインターネットと民主主義のプロセスを、最初から一緒に発展させて来たことが重要(デジタル民主主義)です」と説明します。
このYouTube動画には、オードリー・タン氏の発言全文(中国語)が掲載されています。
- 台湾のデジタル民主主義からスイスが学べること(12/16 swissinfo.ch)