国連気候変動枠組条約第30回締約国会議(COP30)が近づく中、「Global Tipping Points」は、プラスとマイナスの両方の転換点に関する最新の研究を「地球転換点報告書2025」として発表しました。世界23カ国、87機関から160名の科学者が参加し、地球システムの不可逆的な転換点をどのように管理するか、それがもたらすリスク、そして、プラスの転換点を理解し行動することの重要性に関する知識を統合しています。
- The Global Tipping Points Report 2025(Global Tipping Points)
- 気候転換点(Wikipedia)

気候変動により地球システムが「新たな現実」に直面しています。壊滅的かつ不可逆的なものになり得る最初の転換点は「サンゴ礁」で、海洋の温度が過去最高を記録する中で広範な海域で死滅が近づているとしています。世界中の160人の科学者が作成した報告書で明らかになりました。
人類が化石燃料を燃焼し気温を上昇させるにつれ、すでに深刻な熱波、洪水、干ばつ、山火事が頻発しています。しかし、さらに大きな影響が目前に迫っています。気候変動は、アマゾン熱帯雨林から極地の氷床に至るまで、地球の重要なシステムのバランスを崩壊に追い込む可能性があります。
「地球システムの複数の転換点が急速に近づいており、それが世界を変化させ、人間と自然にとって壊滅的な結果をもたらす可能性がある」と、報告書の執筆者である英エクセター大学グローバルシステム研究所のティム・レントン(Tim Lenton)教授は述べています。

報告書によると最も憂慮すべきは、大西洋の重要な海流ネットワークである「大西洋南北循環(Atlantic meridional overturning circulation: AMOC)」が崩壊する可能性だとしています。これは世界の一部に深刻な寒冷化をもたらし、別の地域を温暖化させます。モンスーンの季節を乱し、海面水位を上昇させるなど、世界に壊滅的な影響を及ぼすとみられます。この崩壊は、現在生きている人々の生涯のうちに起こる危険性があると、世界自然保護基金(WWF)のチーフ・アダバイザーであるマイク・バレット(Mike Barrett)氏は警鐘を鳴らします。
オスロ大学社会学・人間地理学部の研究者マンジャナ・ミルコレイト(Manjana Milkoreit)氏は、「世界はこうした転換点を越えた場合の影響にまったく備えていない」と指摘します。さらに。「各国政府が今どのように対応するかは「非常に長い期間、地球システムに影響を与える可能性がある」と付け加えました。
「地球転換点報告書2025」が求める行動には、地球温暖化の原因となる汚染の急速な削減や、大気からの炭素除去の拡大などが含まれています。ティム・レントン教授によれば、世界の気温は1.5度の目標を超えて上昇する見通しになっています。それでもこの水準以上のさらなる温暖化を最小限に抑え、できるだけ早く気温を低下させることが重要だと強調します。
- Positive Tipping Points(Global Tipping Points)ポジティブ転換点

下記は様々な地球温暖化シナリオ下における大西洋南北循環(AMOC)の崩壊が気候に及ぼす潜在的な影響を視覚化するインタラクティブなウェブツールです。最先端の気候モデルシミュレーションのデータを用いて、気温や極端現象を表示します。
- 大西洋南北循環(AMOC)(Website)ダッシュボード