8月26日の朝、ネパール(Rasuwa and Nuwakot districts)のトリシュリ川(Trishuli River)の72km区間で鉄砲水と土砂崩れが発生し、数十の集落を襲いました。中国とネパールの国境にある貿易と観光の主要な玄関口(国境検問所)であったギロン港(Gyirong Port)は完全に破壊されました。ネパールでは少なくとも626人の死亡と 2,426人の行方不明が確認され、さらに中国のチベット自治区では7人の死亡と554人の行方不明が確認されています。
- 2026 Nepal floods(en:Wikipedia)
- Risk of glacier collapse in the Southeast Tibetan basin(3/10, 2025 Nature: Climate and Atmospheric Science)

ネパールと中国の国境地帯で発生した大規模な土石流について、衛星画像分析が専門の東京大学の渡邉英徳教授は、氷河や岩が幅約1km、長さ約2kmにわたって崩落したことが原因になった可能性が高いとする分析結果を明らかにしました。土石流は標高差約4,600m、直線距離で70km以上を猛烈な勢いで流れ下っています。
渡邉教授は米国の地球観測衛星などが撮影した土石流発生前後のデータを3D化して分析。標高約5,000mの地点で、氷河や岩が大規模に崩落したことで土壌がむき出しになっていることを確かめました。渡邉教授は「この氷河が崩れたことがきっかけとなり、大量の氷や岩が土砂を巻き込みながら流れていった」と推測しています。米地質調査所(USGS)によると、氷河崩壊でマグニチュード(M)5.2の地震に相当するエネルギーが発生しました。
- ネパール土石流、原因は2キロにわたる氷河や岩の崩落か…専門家「温暖化による洪水の実例が現れてしまったかもしれない」(8/28 読売新聞)
- 2026年ネパール洪水の3D衛星画像マップの公開と,その作成手法|渡邉英徳研究室(8/29 渡邉英徳/note)
大規模な土石流は、谷筋に沿って流れ下り、周辺の集落をのみ込んでいきました。土砂が川岸から斜面を約700m上っている箇所もあります。渡邉教授は「かつてない災害だ。地球温暖化で氷河が崩れて洪水が頻発すると言われてきたが、実例が現れてしまったのかもしれない」と話しています。
<AI(Gemini)による氷河の異変>
地球温暖化の影響により、世界各地の氷河では単なる「緩やかな融解」にとどまらない深刻な異変が相次いでいます。現状のペースで温暖化が継続した場合、今世紀末までに世界の山岳氷河の過半数〜7割以上が消失すると試算されています。一度失われた氷河の再生には数百年から数千年を要するため、温室効果ガス排出を大幅に減らす「緩和策」と、衛星・センサー監視等を用いた早期警戒システムの導入といった「適応策」の並行が急務となっています。
- ネパール土石流(Google検索)
