現地時間4月11日午前11時10分(日本時間12日午前0時10分)から約35分間、米国・ワシントンDCを公式訪問中の岸田文雄内閣総理大臣は、米国連邦議会上下両院合同会議において、「未来に向けて ~我々のグローバル・パートナーシップ~」と題する演説を行いました。本演説は、ジョンソン下院議長が主宰し、ハリス副大統領(上院議長)や、上下両院指導部を始め、多くの上下両院議員や各界の関係者などが出席しました。アニメの話題などで笑いも交えながらの演説で、超党派の議員が総立ちで賛意を送る「スタンディングオベーション」がおよそ15回起きています。
- 米国連邦議会上下両院合同会議における岸田総理大臣の演説(4/11 外務省)
(「未来に向けて ~我々のグローバル・パートナーシップ~」)
- 演説「未来に向けて ~我々のグローバル・パートナーシップ~」全文 (英文(PDF)/和文(仮訳)(PDF))
冒頭で、議長、副大統領、連邦議会議員の皆様、御来賓の方々、皆様、ありがとうございます。日本の国会では、これほど素敵な拍手を受けることはまずありません。(拍手と笑い)
幼少期からずっと、私は米国とのつながりを感じてきました。おそらく、小学校の最初の3年間をニューヨークのクイーンズにある公立小学校であるPS20とPS13で過ごしたからでしょう。日本人は私一人でしたが、同級生達は私を親切に受け入れてくれ、お陰で新しい文化に溶け込むことができました。そうしてニューヨークにやって来た私たち家族は、1963年の秋から数年間にわたり、米国人と同じような生活を送りました。父は通商担当官として、職場のマンハッタンまで地下鉄で通っていました。
私たちは、メッツやヤンキースを応援し、コニーアイランドでホットドッグをほおばり、休日には、ナイアガラの滝や、ここワシントン D.C.まで出かけたものです。そして今も思い出すのは、日本の少年にとってはもの珍しく面白かったアニメ「フリントストーン」。今でもあの番組を懐かしく感じます。ただ、「ヤバダバドゥー」の意味を日本語訳することはできませんでしたが。(拍手と笑い)
日本は米国のリーダーシップを信じています。そして、米国の経済を信じています。日本は世界最大の対米直接投資国です。日本企業は、約8,000億ドルを投資し、米国内で約100万人の雇用を創出しています。これらは良質な雇用であり、製造業だけで 50万人の雇用を生んでいます。
つい昨日、バイデン大統領と私は、AI、量子、半導体、バイオテクノロジー、クリーン・エネルギーといった次世代の新興技術の発展において、日米両国が世界をリードすることへのコミットメントを示したところです。そしてまた、両国間の協力分野は宇宙にも広がっています。これは、明るく希望に満ちた明日への道を照らしています。1969 年のアポロ11号による月面着陸のテレビ中継は、今でも私の記憶に焼き付いています。
本日は、2名の宇宙飛行士に来ていただいています。星出さん、タニさん、御起立いただけますでしょうか。星出彰彦氏は、これまでに3回、宇宙に飛び立たれてきました。また、2021年には国際宇宙ステーションの船長を5か月間務められました。隣にいらっしゃるのはダニエル・タニ氏です。タニ氏は、船外活動を6回経験した日系米国人の元宇宙飛行士で、2回のミッションでは、なんと5,000万マイル以上のフライトを達成しました。
最後に、一言述べて締めくくらせていただきます。日本が米国の最も近い同盟国としての役割をどれほど真剣に受け止めているか。このことを、皆様に知っていただきたいと思います。
私たちは共に大きな責任を担っています。日米両国は、平和にとって、自由にとって、そして繁栄にとって、必要不可欠な存在です。そう私は信じます。信念という絆で結ばれ、私は、日本の堅固な同盟と不朽の友好をここに誓います。「未来のためのグローバル・パートナー」。今日、私たち日本は、米国のグローバル・パートナーであり、この先もそうであり続けます。
本日の御招待、皆様のおもてなし、そして米国が世界で果たしている役割に感謝します。(拍手)