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日本文学と日本映画の名作「飢餓海峡」

  • Movie

飢餓海峡は、水上勉さんが推理作家から社会派の作家へと移行する時期の作品で代表作の一つです。戦後の貧困の時期を生きることになった多くの日本人の悲哀が主要な登場人物に投影されています。

1965年(昭和40年)に映画に、また1968年からテレビドラマ、1972年からは舞台が数回にわたって製作されています。映画とテレビで6,7回観ていますが、久しぶりに動画配信で3時間2分のノーカット版を観ました。

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Kiga kaikyô (1965) / IMDb

洞爺丸事故」は、1954年(昭和29年)9月26日に青函航路で台風第15号により起こった、青函連絡船洞爺丸が沈没した海難事故です。死者・行方不明者あわせて1,155人に及ぶ、日本海難史上最大の惨事となっています。

また、同日に岩内町では市街の8割・3298戸が焼失(写真)、罹災者16,622人、死者35人(焼死33人、溺死2人)、負傷者551人、行方不明3人の「岩内大火」が発生しています。

飢餓海峡は、この洞爺丸事故と岩内大火を題材にして着想されています。

青森県大湊(現:むつ市)の娼婦・杉戸八重は、一夜を共にした犬飼多吉と名乗る見知らぬ客から、思いがけない大金を渡されます。八重は借金を清算して足を洗い東京に出ますが、犬飼の恩を忘れることはなく、金を包んであった新聞と犬飼が使った安全カミソリ(映画では犬飼の爪)を肌身はなさず持っていました。

殺人事件の捜査を通して、犬飼多吉と娼婦・杉戸八重が貧困の中で懸命に生きた想いや、人生の悲哀と悲劇が描かれた日本文学の名作ですが、日本の名作映画でもあります。


Le détroit de la faim – Tomu Uchida – Trailer 投稿者 k-chan

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