国指定重要文化財・北海道庁旧本庁舎(赤れんが庁舎)は、1888年(明治21年)に完成した北海道庁の本庁舎として建築された煉瓦造りの西洋館です。1968年(昭和43年)に新しい本庁舎(北海道庁舎)が完成するまでの80年間にわたって北海道行政の中枢として使用された建物です。2019年(令和元年)に大規模な改修工事に着手し、2025年(令和7年)7月25日に令和の大改修を終えてリニューアルオープンしました。
- 赤れんが庁舎(公式サイト)

1886年(明治19年)に着工、1888年(明治21年)に竣工した地上2階、地下1階、八角塔屋付の建物です。明治中期における煉瓦造洋風建築としては比較的規模の大きいものであり国指定史跡内に位置しています。平井晴二郎が設計の中心を担っています。
赤れんが庁舎の特徴の一つが、屋上に設けられたアメリカンスタイルの大ドーム「中央八角塔」でその頂部までの高さは約33m(10階建のビルに相当)もありました。しかし、当初の設計になかったため、強風が吹くと下の本屋が揺れ、雨漏りも発生するようになったことから間もなく撤去(明治28年と29年説あり)されています。1968年(昭和43年)の復元改修工事では外観をできる限り創建時に近づけることとされ中央八角塔も復元されました。

- 赤れんが庁舎の材と技(赤れんが庁舎)
赤れんが庁舎に使われているれんがの数は、およそ250万個。れんがに適した粘土が発見された白石村(現・札幌市白石区)で創業した鈴木煉瓦製造場が主に製造しました。れんがの色は、焼成によって土中の鉄分が酸化した色で、鉄分の多い粘土からは赤みの強いれんがが生まれます。焼成温度によっても色は異なり、約800度でみかん色、1,000度を超えると赤紫色から黒褐色になります。1968年(昭和43年)の復原では、江別市野幌地区のれんが工場が協力して、必要なれんがを製造しました。
れんがは互いがかみ合うように積み上げていくことで、力をピラミッド状に拡散できる構造になっています。積み方にはフランドル積みやイギリス積みがあり、赤れんが庁舎に採用されたのはフランドル積みです。
赤れんが庁舎の玄関車寄、腰壁、窓廻り、階段などには明灰色の石が使われています。これは札幌硬石という安山岩で、札幌市南区の硬石山で現在も採掘が続いています。札幌硬石の色と素材感は、れんがと絶妙の対比をなし、建物のアクセントになっています。

- 施設概要
・北海道の遺産・文化/自由に散策しながら北海道をぐるりと楽しめる展示室
・北海道の歴史とアイヌ文化/デジタルサイネージやARを活用した体験型展示
・北海道の素材を使用した料理やお酒を楽しめるレストラン
・「お菓子の研究所」をイメージしたISHIYAの新しい直営店
・八角塔展望バルコニー
動画では赤れんが庁舎のこれまでの歴史や、改修工事の様子、リニュアール後の赤れんが庁舎についてご紹介しています。